最近、厚労省と法務省が外国人の技能実習制度を見直し、監査組織による検査や、違反した受け入れ企業に罰金を科すなどの対策を実施し、技能実習生の待遇改善を図ると報道された。それ以前には外国人の技能実習制度の悪用は強制的な労働である指摘を受けていたのである。

 女性の活躍に政府も力を入れていて注目が集まっているが、やはり日本は国連や国際機関などから男女平等について指摘を受けている。自由権規約委員会の2014年の勧告を少し引用してみよう

「委員会は、第3次男女共同参画基本計画の決定を歓迎する一方、政治的役割を担う女性の数が低水準に留まっていることに鑑み、本計画の影響力が限られていることを懸念する」

「委員会は、女性がパートタイム労働力の70パーセントを占め、同等の仕事に対して男性が受け取る給与の平均58パーセントを得るという報告について懸念する」

「委員会はまた、セクシュアル・ハラスメント、あるいは妊娠及び出産を理由とした女性の解雇に対する処罰措置が不足していることを懸念する」

「締約国(注:日本を指す)は、第3次男女共同参画基本計画の進展を実効的に監視及び評価し、政党における法定クオータのような、暫定的な特別措置を含め、公務分野における女性の参画拡大のための、迅速な行動をとるべきである」

「締約国はまた、セクシュアル・ハラスメントを犯罪とし、妊娠及び出産を理由とした不当な扱いを適切な刑罰をもって禁止し、制裁するための必要な立法措置をとるべきである」

 

 といった具合だ。委員会からは2018年が次回報告の期限で勧告の実施などについての情報提供を要請されている。

 ILO(国際労働機関)からは男女賃金格差について是正報告を求められていて、差別待遇の撤廃を目指した条約を批准していない、と言う問題もある(G7の中で批准していないのは、日本を含め2か国)。それぞれが一企業に直接的に関係ない場合もあろうが、日本国内でも男女問わずブラック企業と称される企業はいくつもある。

 これらの人権上の指摘への対応を「企業収益上マイナス」とネガティブにとらえることは論外だ。「企業が法律やさまざまなルール順守の下で収益を得てマルチステークホルダー(株主・顧客・従業員・取引先・地域社会等)の満足を得ていること」という本稿冒頭で述べた企業経営のあるべき姿があくまで基本だということを忘れてはならない。

 最終的には健全な企業市民とならなければグローバルな経済社会で生き延びていくことは難しい。コーポレートガバナンス・コードもそのスピリットで推進していくべきだろう。


■連載バックナンバー
第1回:なぜいま、コーポレート・ガバナンスを議論するのか
第2回:取締役会の改革が、ガバナンス改革の出発点
第3回:形だけのガバナンス改革から脱する法