違法行為、いじめ、ハラスメント……組織の健全性が低下していることを示すニュースは後を絶たない。筆者らは、その根本原因は「男性性を競う文化」にあると指摘する。男性性を競う文化とは何か。それはいかなる弊害を生み出すのか。本記事では、そうした文化を変えるための2つの具体的なアクションまでが示される。
ウーバー、ナイキ、CBS――昨今の暴露記事では、不正やいじめ、セクハラがはびこり機能不全にも思えるような職場の様子が明るみに出ている。
たとえば、2017年にスーザン・ファウラーがウーバーについて書いたブログでは、みずからが繰り返しハラスメントを受けた記憶だけでなく、彼女が「ゲーム・オブ・スローンズ」(王座争い)と表現する環境について詳述されている。そこではマネジャーたちが、出世のために同僚を出し抜き妨害しようと努めていたという。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の調査記事は、ウーバーについて次のように描写している。この「ホッブズ的な環境(哲学者トマス・ホッブズの言葉、『万人の万人に対する戦い』を指す。人間は自然状態では利己的で、自分以外のすべての人を敵として争う、という意味)では……社員が互いに競うようけしかけられ、業績優秀者が違反をしても見て見ぬふりをされる」
企業ではなぜ、違法行為、ハラスメント、有害なリーダーシップが生じるのだろうか。我々の研究は、その根本原因をつきとめた。それは、我々が「男性性を競う文化」と呼ぶものだ。
この手の文化では、勝者がすべてを手に入れる競争が助長される。そして勝者は、感情面の強さ、身体の強靭さ、冷徹さといった、男性に典型的な特質を発揮する。そのような文化では、従業員が異常なまでに勝ちを争うようになるため、組織が機能不全を起こすのだ。