クラウゼヴィッツとリデル・ハート――。ヨーロッパを代表する近代軍事戦略家である。前者は「強者の戦争論」と呼ばれ、いまなお高い人気を得ている。かたや後者は「弱者の戦略論」といわれ、人気は薄い。筆者は両者の戦略論を人間の「完全合理性と限定合理性」、さらに取引コスト理論を用いて分析し、新たな視座を提示する。そして、この2つのアプローチ戦略をゲーム業界の競争に当てはめて分析し、戦いの終結をも視野に入れた間接アプローチ戦略、すなわち弱者の戦略論の優位性を説く。グローバルな環境下で展開される競争の勝利者は「戦わずして勝つ」ことに目覚めた企業である。