●本当に辞める準備ができているか

 なぜ自分は変化を求めているのか、じっくり考える。しばらく前から現在のポジションに不満を感じていたのかもしれないし、別の業界や職務のほうが向いていると気づいたのかもしれない。あるいは独立してフリーランスになったり、自分でビジネスを始めたりする準備が整ったと感じているのかもしれない。

 いずれにせよ、いまが辞め時だと確信するにはどうすればよいか。もちろん、あなたも早まった決断はしたくないはずだ。

 キャリアコーチのプリシラ・クラマンは、引き返せなくなる前に、以下のように自問することを勧めている。

・あなたは自分にふさわしい組織で働いているか。
・あなたは自分にふさわしいポジションにいるか。
・あなたは自分が将来望むキャリアを目指せる位置にいるか。

 いずれかの答えが「ノー」なら、新たな機会を探せという合図だ。

 まずは、いまの組織で何が起きているかを観察することから始める。尊敬する人々が会社を辞めていないか。収益が減っていないか。予告がなく、根拠も示されないまま、何らかの変更が実施されていないか。これらは組織に問題がある兆候であり、別の会社で似たような仕事を探すのが賢明かもしれない。

 あるいは学習や成長の機会がないのかもしれない。キャリアを妨害する上司がいるという場合には、相性の問題の可能性があるため、社内の別の場所でポジションを求めることを考えてみるのもよいだろう。

 最後に、キャリアの次のステップに踏み出す準備が本当にできているのか考える。まだ準備不足だと思うなら、みずからのキャリア資産(評判、業界の知識、ネットワークなど)の形成に力を注ぎ、近い将来の転職に備える。

 コミュニケーションコーチでコンサルタントでもあるドリー・クラークは、退職届を出す前に、いまの組織の問題点を改善する余地があるか、上司と話し合うことを勧めている。

 たとえば、会社は全員出社勤務に戻すと発表したが、あなたは在宅勤務を続けたい場合、例外を認めてもらえないか聞いてみる。答えは「ノー」かもしれないが、辞める前に聞くだけ聞いてみても構わないだろう。

 いまの会社ではこれ以上成長できないという懸念があるなら、関心のあるプロジェクトやイニシアチブに参加したいと希望を伝えたり、新しいスキルを学べる能力開発プログラムを会社に求めたりすることもできる。

 お金も、多くの人が会社を辞めたいと思う理由の一つだ。給与が低すぎると感じている、あるいは新しいスキルや経験を身につけて、実際に自分の市場価値が高くなっている場合には、昇給について確認することだ。そして、なぜ自分が昇給に値するのかを、筋道を立てて主張する。

 もちろん、職場で日々、悲惨な目に遭っている場合には、昇給は何の役にも立たない。コンサルタントのメアリー・アバジェイは、悪い上司や有害な企業文化に悩まされているなら、会社にしがみつく必要はないと言う。

「たとえば、毎日ビクビクしながら仕事に行く、仕事で身体的または心理的に危険を感じる、仕事よりも上司のことを考える時間が多い、仕事のストレスがそれ以外の生活にまで及ぶ、あるいは自己評価が急落するという状況なら、辞め時である」と、アバジェイは説く。

「キャリアを変えることを自分に許可しよう。事態はよくなるだろうという望みを捨てて、辞める恐怖に打ち勝つのだ」