●どのような理由を挙げるべきか

 筆者個人としては、いかなる時も正直かつ率直であることを信条としている。ただし、退職の理由に限っては、真実を洗いざらい話さないほうがよさそうだ。その上司の下で働くのが嫌で辞める場合は、特にそうである。

 カルッチはこれについて、賢明なアドバイスをしている。

「あなたのニーズの変化とキャリアの目標を考えたうえでの決断であることを、明確に伝える。辞める原因が上司にあるとほのめかすようなメッセージは送らないようにしよう(実際はそうだとしても、だ)。円満に関係を終わらせるべき相手を非難したりすれば、みずから退路を断つことになる。あなたも、ポジティブな推薦状を書いてくれる人を失いたくはないだろう。上司を怒らせれば、保身に走って、あなたを悪く言うかもしれない」

「この会社で悲惨な思いをしたので辞めます」と言うわけにはいかないため、代わりに、あなたがこれから成し遂げたいと思っていることを中心に理由を組み立てる。これまでと違う役割を担ってみたい、新しい業界に挑戦したい、あるいはシンプルに心機一転したいと言うだけでもよいだろう。

 ●退職まで、どのぐらいの日数を見るべきか

 おそらくわかっていることだと思うが、退職の少なくとも2週間前までには会社に申し出るのが一般的だ。しかし、記者のレベッカ・ナイトは、引き継ぎのためにもっと長く留まることを申し出ても構わないと言う(新しい勤務先にすぐに移る必要がない場合に限る)。

 どのくらいの期間が必要かは、会社でのあなたの地位にもよる。「組織での地位が高いほど、引き継ぎにも後任の指導にも時間がかかるだろう。できれば、1カ月近く見ておくのがよい」

 ただし、教育業界のように、早めに退職を申し出るのが規範になっているのでなければ、あまり長居もしたくないだろう。退職届を出せば、部外者として扱われ始めるかもしれないからだ。理想的には、上司や同僚に「置き去りにされた」と感じさせない程度の十分な時間を取れるとよい。

 これについても、カルッチは伝え方の例を紹介している。「この会社で仕事の機会をいただき、同僚と出会えたことにとても感謝しています。理想としては、〇月〇日までに退社したいと思っています。引き継ぎ期間中、どうすれば最善の形でチームの役に立てるでしょうか」

 カルッチは、できる限り、引き継ぎに力を注ぐべきだと言う。「退職までに完遂できない仕事がいくつかあるかもしれない。バトンを渡すためにできるだけのことをすると申し出る。新しい勤務先がすでに決まっている場合には、通例の2週間よりも長い猶予期間が必要だと、新しい勤務先に交渉する材料になる。そうすることで段階的な引き継ぎが可能になり、いまの会社で未完成のプロジェクトを仕上げる余裕も生まれるだろう」