Juan Moyano/Stocksy

金利の上昇に伴い、経営者はこれまでのような「抑えられない熱狂」から大きく方向転換し「過剰な警戒」へと方針を変えつつある。しかし、それは間違いであると筆者は断言する。フィジカルとデジタルにまたがり、異なるプレーヤー同士をつなげる創造的な多企業参加型の提案に、価値が移動している。本稿では、企業が新たな条件に適応するため、経営者に求められる3つの取り組みを提示する。

ジェフ・べゾスのやり方はもはや通用しない

 過去20年の間、企業の事業範囲と優先事項は潤沢な資本に基づいて形成されてきた。しかし現在、プライベートエクイティ・ファンドの原資は、過去最高となる3兆4000億ドルに達している。これほど大量の流動性資金が投資機会に恵まれていないため、革新的な事業を手掛ける投資先の評価額は高くなる。

 これまで低金利環境の広がりによって、成長ばかりが重視されてきた。借り入れコストがあまりに安いため、資本は短期の回収を目的とせずに長期保有できる余裕が生まれた。たとえ収益力がなくても成長の見込みがあれば、投資家に事業価値を納得させるのに十分であった。

 そしていま、金利が上昇し、世界中の中央銀行によって流動性の引き締めが行われる中、焦点はリターンへと移っている。投資家が根拠なき活況と、取り残される不安(Fear of Missing Out:FOMO)から目を転じ、業績と評価を見直す中、何が付加価値を生むのか、という基準が見直され、成長の価値を前提としていた企業には課題が突き付けられている。

 かつて、ウィーワークのアダム・ニューマンのようなセールスに長けた人たちは、たとえ財務的につじつまが合わなくてもコンセプトを誇大に売り込むことができ、成長を金で買う以外に大した安心材料もないまま現金を浪費してきた。しかし、資本コストの上昇と流動性の低下によって、監視の目がより厳しくなることは避けられないだろう。

 このような監視は、歓迎すべき変化かもしれない。新しいビジネスモデルの可能性に夢中になり、巨大テック企業の途方もない評価額と現金創出力に熱狂し、デジタル拡張戦略に乗り出した企業はたくさんある。

 通説は次のようなものだ。テクノロジー・プラットフォーマーを見よ。利益を追求すれば、事業は破綻していたはずだ。黒字化へのプレッシャーをはねのけたジェフ・ベゾスは正しかった。成長と究極的な規模が、後から莫大な財産をもたらすのだから。