●解決策3:チームのパフォーマンスではなく、人材のポテンシャルでマネジャーを評価する

 かつては「どうすればこの人を自分のチームに残せるか」が課題だったが、いまは「どうすればこの人を組織に残せるか」が課題である。

 マネジャーがキャリア支援において果たす役割を、既存のチームの枠を越えて機会を求めることも支援する、というところまで拡大する。行動の変化を促す際には、指標が重要になる。マネジャーは組織内の流動性を高めることについて評価され、報酬を得るべきだ。

 流動性の指標

 マネジャーは、組織全体が人材のポテンシャルの開発に重点を置くというアプローチを反映した、新しい指標で評価される必要がある。

 この指標には、チーム内で支援したキャリア実験の数や、チームの外でのキャリア探索を支援した数などを含めることができる。さらに、理想としてはチーム内のスキルの多様性と開発、スキル・マーケットプレイスのデータに連携している指標、空いている職務の充足率などもあるだろう。これらの指標は、組織内で人材を流動させ、キャリアアップを望む人を支援し、組織がより流動的で柔軟な人材から、利益を得ることの必要性を裏づける。

 従業員のエンパワーメント

 ほかの場所や仕事でも通用する才能を発揮し、さらに伸ばすことができるかどうか。個人のキャリアについて頻繁に話し合い、可能性を追求することが許されていると思えるかどうか。そうした情報を共有する手段が従業員には必要だ。

 キャリアアップに関するマネジャーの態度や行動に関するフィードバックの共有を奨励し、それができる力を与えることが、このプロセスの要になる。そして、このような情報が流れる仕組みとサポートを組織が提供する。

 そのためには、従業員にフィードバックのトレーニングを提供したり、キャリアアップに関するマネジャーのコミットメントを従業員が共有できるシステムを構築したりすることが必要になるだろう。

 また、従業員がマネジャーを評価して報いる機会を設けることで、成功を目に見える形で示すこともできる。「スクイグルとステイ」というマインドセットを認めているマネジャーは、優秀な人材を惹き付け、組織全体が学ぶべきロールモデルとされる。

●マネジャーの流動性にまつわる3つの指標

 マネジャーは自分のチームに対してのみ責任を負うのではない。メンバーが組織内のほかの部署を探索して貢献することをどれだけ可能にしたかも評価の対象となる。

・キャリアに関する会話の質についての従業員からの評価
・キャリア実験を遂行した数
・必要な役割を内部人材で埋めた割合

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 リテンションマネジメントの再構築は、多くの組織やマネジャーが直面している課題に対して、即効性のある解決策ではない。しかし、早く始めるほど、従業員は成長のために退職を考えるのではなく、スクイグルとステイ、すなわち組織内でさまざまなキャリアを経験しながら働き続ける機会を見出すことができるだろう。


"It's Time to Reimagine Employee Retention," HBR.org, July 04, 2022.