これら5つの能力を求めて採用活動を行うのも一つの選択肢だが、実際の仕事を通じてこれらの能力を開発し、さらに向上させていくことはできるのだろうか。

 5つの能力のうち、「社内外とのコラボレーション能力」と「適応能力」の2つは、求人の際に「求められる資質」の欄に入る可能性が高い。筆者らは、クライアントの採用活動に携わってきた長年の経験から、これらの特性は基本的には持って生まれたものであり、後から習得するのには時間がかかることを知っている。

 だが、「デジタルチャネルとバーチャルチャネルを活用する能力」のように訓練しやすい特性も、この「求められる資質」に含まれている。

 あるマネジャーによると「弊社の営業は、バーチャル営業は絶対やりたがらない(中略)直接、顧客に会いに行きたがるのです」と不満を漏らした。そのマネジャーの会社では現在、営業担当者を採用する際に、候補者の新しいテクノロジーに対する学習能力と、デジタル、バーチャル、対面、いずれの方法でも顧客が希望するチャネルを使ってコミュニケーションを図る意欲を評価することにしている。

 別の営業マネジャーは、「私の部下の3分の1は、何もわかっていない。デジタルスキルもなければ、そもそも関心もない」と筆者らにこぼした。残り3分の2の「わかっている」営業担当者については、適切な能力開発プログラムや見習い制度、支援の仕組みを通じて、将来の成功に必要な能力を高めることができているという。

 2025年には、労働人口のうちデジタルネイティブ(1980年以降生まれ)が占める割合は75%に達する。したがって、ほとんどの従業員にとって、スマートフォンを使うことから、ズームや顧客関係管理(CRM)ツール、そしてリンクトインなどのプラットフォームの使用法を学ぶことまでは、さほど大きな飛躍ではない。

 企業では、ソーシャルメディアや電子メール、ビデオ会議をはじめ、顧客とつながるためのさまざまなデジタルツールをいつ、どのように使うかについて、営業担当者向けの研修を定期的に実施している。多くの営業組織は、デジタルスキルを持つ人材を採用しているが、コロナ禍によるリモートワークへの移行拡大によって、デジタルに疎くても、あるいは反発を感じていても、ほとんどがデジタル学習曲線をたどることができると証明された。

 企業が採用条件とする能力の一部については、営業担当者を支援する中央集権型のリソースを組織が提供するという代替策もある。

 たとえば、ある営業担当者が顧客の利用実績に基づいて、料金を調整したうえで契約更新を提案したいと考えている場合がある。営業担当者が1日がかりであらゆる情報を探し出し、スプレッドシートを作成して、新たな料金を算出することもできる。あるいは、アナリティクスの専門能力があり、データに簡単にアクセスできる本社の人間が、より迅速に、よりよい答えを出すこともできるだろう。

 企業によっては、センターオブエクセレンス(CoE)と呼ばれる中央組織を設置して、提案依頼書(RFP)に対応する営業担当者を支援している場合もある。または、CoEを利用して、オンデマンドで業界や顧客に関する調査を主要な営業担当者に提供している企業もある。

「顧客の未来を予測する」ことが、営業担当者の仕事であると同時に、本社の役割にもなってきているのだ。これにより、営業担当者が顧客に集中することも可能になる。