マーケティングはあまりに日常的な企業活動でありながら、いまだに経験則や勘ピュータが支配している。各施策についてその費用対効果を測定したり、そこへの資源配分を科学的に決定したりといった取り組みが当たり前のこととしてビルドインされている組織は稀である。マーケティングROIは、これまであいまいなまま実施されてきたマーケティング施策を定量的に分析し、より戦略的な意思決定とアクションの実現を目指す。

ブランド・ポジショニングには、差別化に加えて「フレーム・オブ・レファレンス」「ポイント・オブ・パリティ」が重要である。落とし穴を避け、強いブランド・ポジショニングを確立するためのポイントを提示する。

プライシングは概して需要を喚起するマーケティング施策と考えられている。実際、ほとんどの企業がこの域にとどまっている。このように一時的な需要を喚起するプライシングは顧客維持率と顧客満足度を低下させているという。むしろ、消費（利用や経験）の頻度を高めるように巧みなプライシングによって消費者心理に働きかけることで、この問題を解決できる。

アメリカの中流市場は様変わりしつつある。このセグメントの消費者は高学歴化し、生活感度も向上し、可処分所得も高い。このような消費者はデザインもつくりも優れた「新贅沢財」を求める。本稿は10年以上に及ぶ調査から、この新贅沢財市場の担い手である消費者と企業の双方を分析し、ビジネスチャンスに結びつける方策を示している。

採算性に乏しい顧客はビジネスの敵である。これが一般的な見解である。しかしイノベーターはいわゆる不採算顧客をターゲットとしたビジネスモデルを構築し、並みいるライバルを尻目に高収益を達成している。その成功の秘密について解説する。

1. システム思考のマーケティングフット・コーン・アンド・ベルディング シニア・バイス・プレジデント 兼グループ・クリエイティブ・ディレクターダニエル・クライン2. 広告の危機シラキュース大学 ニューハウス・スクール・オブ・パブリック・コミュニケーション 教授ジョン・フィリップ・ジョーンズ3. 顧客満足の世界地図元HBR シニア・エディター レジナ・ファツィオ・マルカ

現在、ストック・オプションを費用計上する義務はなく、その是非をめぐって侃々諤々の議論が交わされている。ただし、そもそも価値の移転を伴う取引を計上するのは会計の原則である。本稿では、いまだ繰り返される議論に終止符を打つべく、これらの主張に真っ向から反論し、ストック・オプションを費用計上する正当性を検証する。

ドラッカーやギフォード・ピンチョーをはじめ、他の経営学者やコンサルタントも、中央集権的なヒエラルキー組織はフラットで機動性あふれる組織へと移行すると予測している。しかし、依然としてヒエラルキーは繁栄し続けている。本稿は、なぜヒエラルキーが存続し続けるのか、その理由についてさまざまな角度から論じる。

イノベーションにおける真のヒーローは、新しいアイデアを発掘し、具体的な効果と関連づけ、社内に売り込み、最終的に組織へと導入する「アイデア・プラクティショナー」（アイデアの具現者）である。このような人々の存在が組織を活性化し、変革を導く。企業は彼らの発掘、育成と評価にこれまで以上の力を注ぐべきである。

予算管理に拘束される限り、環境変化に適宜対応しうる事業戦略は後手に回る。鮮度の高い情報が還流し、潜在能力をフルに発揮させる分権化組織のメカニズムを、予算管理を放棄した企業の実例と共に紹介する。

企業を再建するために新しいＣＦＯが就任し、新たな業績管理システムが導入されて１年が過ぎた。素晴らしい成果が数々上がり、このＣＦＯは満悦であった。しかし実際には顧客満足度のみならず、社員の士気は低下し社内にさまざまな問題が影を落としていた。その原因は、このＣＦＯが導入した業績管理システムにあった。いったい何が間違っていたのだろうか。