「守るべきは理念であり、手法や手段ではない」と中村 邦夫社長は強調する。2000年11月に発表された「創生21計画」は「破壊と創造」を旗印に、長らく続いてきた製品別事業部制の見直しを決断したものだった。それは各方面に波紋を呼んだが、その真意は「真の自主責任経営」を改めて宣言することにあった。多くの日本企業においてグループ経営の再構築が迫られるなか、松下はいかにそのグループ力を覚醒させていくのか。…

グループ経営に「ペアレンティング」という新しいコンセプトを提供する。事業の適切な選択と集中の後、その事業を育て、守り、独り立ちさせることがいま求められている。

コングロマリット・ディスカウントを超えて――。それは部分の総和を超える「グループ・プレミアム」を生み出すことにほかならない。そのためには、「インテグレーション」と「イノベーション」を同時に実現させる経営モデルを構築する必要がある。デュポンとGMの事業部制をひも解き、ITTやRCA、ウエスチングハウス、ABBの凋落、IBMやGE、デルの持続的成長について検証しながら、日本グループ経営の次なる姿を探…

事業分割には悪いイメージがつきまとう。採算が合わなくなり、瀕死の重傷を負った段階で踏み切られる、後ろ向きの手段として用いられるからだ。しかし、資源を有効活用し、資本効率を高めるために、事業分割は積極的に再検討されるべきだ。

成果主義の導入が進んでいるが、機能不全を起こす例も多い。付加価値を創出する人材を育成する新たなビジョンが必要だ。ミドルの再生と活躍こそが、組織に活力をもたらす。

多くの経営者が「シナジー幻想」に取りつかれているが、事はそう簡単ではない。真のシナジー機会の発見と実現の方法論を解説する。

具体的な九つのテストを用いることで、無数のトレードオフと変動要因を克服し、組織デザインを体系的に行うことが可能となる。

「コトラーがマーケティングをつまらなくした」。ポストモダン・マーケティングの権威、 S．ブラウンはHBRへの寄稿論文のなかでこのように苦言を呈した。これにコトラーはモダン・マーケティングの立場から反論した。ブラウンは「私の主張はあなたが1971年にHBRに寄稿した論文と同じものだ」と返した。本稿は、その1971年にコトラーが寄稿した論文である。

「ビジネスモデル」という言葉の乱用には目を覆うばかりだ。多くの人が無造作に口にしているが、誤った解釈は誤った行動を生み出す。はては企業をミスリードし、最悪の場合、衰退へと向かわせかねない。ビジネスモデルは、戦略でもなければ、戦術でもなく、またアクション・プランでも、改善計画や行動様式でもない。それは、未知なる価値を創造するシステムのことなのだ。本当のビジネスモデルとはいかなるものか、真の定義を求める。

破壊的技術はこれまでの業界常識や慣習、戦略やマーケティングを破壊する。これを脅威と見るか、チャンスと見るか。答えは「両方」だ。脅威と見ると攻撃的な戦略や行動に訴えやすく、チャンスと見ると過剰な投資を招きやすい。企業はこのバランスを図りながら体制を整えなければならない。失敗例と成功例を分析し、そこから抽出された六つの教訓を紹介する。

「コーポレート・ベンチャー・キャピタル」とは、一般事業会社がベンチャー企業に直接投資する活動だが、経済活動に左右されやすい点が問題視されている。しかし、マイクロソフトやインテル、ルーセント、さらにはメルクといった企業では、持続性の高い投資活動が展開されている。そこでは、単なる財務目的を超えて、既存戦略を推進させたり、新たな市場を創発させたりと、より高次元の目的に向けた投資が進められている。

1920年代のゼネラルモーターズは財務上の問題を解決するため、予算配分ルールの策定、予測値を活用した在庫水準と生産量の調整などが実施された。さらに「事業部制を貫きながら全社の足並みを揃える」ため、各事業部の事業効率を把握・評価する手段としてROI（投資収益率）が利用されるようになった。これで財務コントロールが進んだのである。