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多くの企業がDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進に苦戦する中、パナソニックグループのIT事業会社であるパナソニック インフォメーションシステムズは、業務プロセスの抜本的な変革を成功させた。過去の改革では乗り越えられなかった「壁」に対し、総合プロフェッショナルファームのRidgelinez(リッジラインズ)とともに、単なる業務改善に留まらない変革を敢行。成功の鍵は、現場に深く入り込み、変革リーダーと一体で「あるべき姿」を追求する独自のアプローチにあった。
巨大インフラのジレンマ、長く続いたDXの苦闘
パナソニックグループのITシステムの企画・構築、運用を一手に担うパナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)は、グループ全体のDXプロジェクト「PX」において、ITの変革という重責を担っている。
PXは「カルチャー」「プロセス」「IT」の三位一体の改革であり、「パナソニックの事業競争優位を得るために新たな価値をITによって創出することが、当社の重要なミッション」と、同社インフラソリューション本部プラットフォームサービス事業部長の横須賀武士氏は語る。
パナソニックISは、複数のIT部門が統合して生まれた組織であり、サービスやプロセスが部門ごとに混在し、属人化した運用が残されていた。個別最適なインフラの業務プロセスが残っており、各所に点在している状況だった。長年、顧客である各事業会社の要望に真摯に応え続けた結果、個別かつ複雑な業務プロセスが構築されて、インフラ構築のスピードを妨げ、グループ全体の足かせになりかねないという強い危機感があった。
同社はこれまでも、業務のシンプル化やシステムの統一といった改革に地道に取り組み、サービスの標準化など一定の成果を得たが、サービス品目の増加に伴って複雑さが増し、限定的な効果に留まっていた。
同社プラットフォームサービス事業部インフラ標準サービス部長の嵐誠治氏は、当時の課題をこう振り返る。「長い付き合いのあるパートナーは内部の事情を熟知しているがゆえに、抜本的な改革に踏み込めないというジレンマがあった」。
変革を前に進めるには、これまでとはまったく違うアプローチが必要だった。