-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
多くの日本企業が、長年稼働し続けてきた基幹システムの老朽化に直面している。これを最新のシステムへ刷新するだけでは、本質的な競争力は生まれない。KDDI情報システム本部は、システムのモダナイゼーションを契機に、人と組織の変革に挑んでいる。その難題に伴走したのが、Ridgelinez(リッジラインズ)だ。両社が目指したのは、社員がみずから考え、価値創造に取り組む「自走する組織」への転換だった。人を起点とした変革の深層に迫る。
システムの老朽化とIT担当者の存在価値の揺らぎ
通信キャリアとして日本のインフラを支えるKDDI。その事業成長の裏側には、膨大なシステム群が存在する。近年、同社は2つの深刻な課題に直面していた。
1つは、システムの「利用限界」である。多くのシステムが、ハードウェアの保守サポート終了(EOSL)を迎えつつあることから、事業継続のためには大規模な刷新が不可欠であった。
もう1つは、同社情報システム本部長の増田克哉氏が抱いていた「IT担当者の存在価値の揺らぎ」という危機感である。「IT部門にはシステムの戦略策定や要件定義といった重要な役割があるものの、実際には社内調整やベンダーコントロールが業務の中心となっていました。その状況では社員のモチベーション低下や人材流出増加の懸念がありました」
システム構築はベンダーに発注し、社員は管理に徹する。この構造が長く続いたことで、IT担当者の技術力の高度化がなかなか進まなかった。システムの宿命であるEOSL対応を進めつつ、いかにして社員のスキルとモチベーションを高めるか。増田氏は、システムモダナイゼーションと組織変革を一体的に推進するという、難度の高いテーマに挑むことを決めた。
この複合的な課題に挑むパートナーとして、KDDIはRidgelinezを選んだ。先進テクノロジーに対する深い知見とそれを迅速に実装してきた実績を持つRidgelinezに増田氏が求めたのは、課題解決の“答え”ではなかった。「我々が求めたのは、あくまで我々の『自立』を促進する伴走支援と共創でした。一緒に議論して方向性を決めていくプロセスこそが、社員の成長につながると考えたからです」
Ridgelinezの支援は、KDDIの基幹システム刷新をきっかけに始まったが、根源的な課題が「データに基づくアジリティ向上」と「人・組織の変革」にあるとRidgelinezは考えた。そのため提案に当たっては、システム刷新に留まらず、データ活用の促進や人材の高度化までを見据えた包括的なロードマップを描き出した。
Ridgelinez 執行役員Partnerの水谷広巳氏は、当時をこう振り返る。「基幹システムのモダナイゼーションは業務への影響が大きく、複雑で困難なミッションです。だからこそ、我々が実行パートナーとして最後まで伴走することが、KDDIの組織と人材の変革につながる。そう覚悟しました」
課題の「真因」を深掘りし、ともに模索しながら答えを探すRidgelinezの姿勢は、KDDIの信頼を勝ち取り、4年にわたりプロジェクトの礎となった。