サマリー:タレントマネジメントシステムのリーディングカンパニーであるカオナビが、新ビジョン「Talent intelligence™」を発表した。同社がこのタイミングで大胆な事業転換を図る狙いについて、代表取締役社長CEOの佐藤寛之氏に聞いた。

2025年10月、タレントマネジメントシステムのリーディングカンパニーであるカオナビが、新ビジョン「Talent intelligence™」を発表した。創業以来13年間にわたってタレントマネジメント市場を牽引してきた同社が、なぜこのタイミングで大胆な事業転換を図るのか。代表取締役社長CEOの佐藤寛之氏に、その背景と戦略を聞いた。

日本企業が直面している新たな2つの難題

 近年、労働生産性向上を目的とする適材適所の人材配置や、従業員エンゲージメント向上といった課題に対応するために普及が進んだタレントマネジメントシステム。この分野を牽引してきたのがカオナビだ。2012年のサービス提供開始から14年、導入企業数は4500社を超える。

 しかし、カオナビ代表取締役社長CEOの佐藤寛之氏は、現状を楽観していない。経営を取り巻く環境が厳しさを増しており、日本企業が新たな課題に直面しているからである。

 企業側は、VUCA時代の環境変化に対応するため、従来の積み上げ型経営ではなく、事業を機動的に変革する経営へとシフトせざるをえない状況に置かれている。そのスピードは年々加速しており、人事組織もそれに対応した変革が求められている。

 一方で個人側も、コロナ禍を契機とした人材の流動化により、優秀な人材ほど仕事を選べることを実感するようになった。企業と従業員の関係性が、従属的なものから対等になる中で、そうした人々にどう活躍してもらい、いかにして自社に留まってもらうかが重要課題になっている。

「事業運営の複雑化と人材マネジメントの複雑化という2つの難題が、企業にのしかかっているのです」(佐藤氏)

 このように経営の複雑性が増し続ける中で、従来のタレントマネジメントには構造的な限界がある、と佐藤氏は率直に認める。

「人材データの多くは定性的な情報であり、従来の定量的な分析だけではマネジメントの本質は見えてきません。複雑な情報をN対Nで組み合わせる作業を、人間の経験や専門性だけで行うのはもはや不可能になっているのです」

 この限界を突破するためにカオナビが打ち出したのが、新ビジョン「Talent intelligence™」なのである。