データとAIの力で「個」の力を最大限に引き出す

 新ビジョンが目指しているのは、「タレントマネジメントを次のステージへと進化させ、データとAIの力で人的資源(Talent)に知性(intelligence)をもたらし、『個』の力を最大限に引き出すプラットフォーマーとして、組織と社会を革新し続けること」である。

 これは単なるシステムのAI化ではなく、同社の事業構造そのものの変革を意味する。それが「インフィニットモデル」だ(図表参照)。

 この新たなビジネスモデルでは、タレントマネジメントシステム「カオナビ」などの「HR SaaS」だけでなく、AIを活用したコーチングや研修・制度設計など、従来は手がけてこなかったコンサルティングサービス「HRソリューション」も提供する。つまりHR領域において、上流から下流まで一気通貫でサービスを提供することが可能になるのである。

「当社のさまざまなHR SaaSを使っていただくことで人材データプラットフォームにデータが蓄積されていきます。データをためればためるほど、 HRソリューションは高度化し、AIエージェントによって個社に最適化された提案を実行できるようになる。HR SaaSとHRソリューションの両輪が駆動することで、データの蓄積が進み、それによってソリューションが進化し、さらにデータが集まるという無限の好循環を生み出すのです」(佐藤氏)

 AIが急速に普及しSaaSの差別化が難しくなる中、「本質的に企業が変革するためにどう伴走できるか。それが当社の差別化ポイントになります」と佐藤氏は語る。人事コンサルに近い領域への進出は必然の流れなのだ。ただし、すべてを自社で内製化するのではなく、専門性の高いコンサルティングファームとの協業を想定している。

圧倒的な現場のデータ量と膨大な定性情報が強み

 これから競争が始まるタレントインテリジェンス領域において、カオナビはどうやって優位性を保つのか。佐藤氏は以下の4つの要素を挙げる。

 1つ目は「圧倒的なデータ量」だ。業種業界、企業ステージを問わない4500社以上のデータを持っている。

 2つ目は「現場で入力された現場のデータ」を持っていること。創業以来一貫して人材情報を現場のマネジメントに開放することを目指してきた結果、人事部門だけでなく現場からも支持されている。

 3つ目は「AIとの相性」だ。人事情報の本質は定性情報にあり、テキスト情報を取り扱う生成AIとの相性は抜群。そしてカオナビには圧倒的な定性情報のデータベースがある。

 4つ目は「組織体制」である。兼務制によるAI推進室を新たに設置して部署横断的に動ける体制を構築し、新ビジネスモデル開発のスピードアップを図っている。

 では、新ビジョンの実現により、どのような変化が期待されるのか。佐藤氏は具体的な活用イメージを示す。

 人事配置においては、従来の「配属ガチャ」から、多彩なデータを活用した精緻なマッチングへと進化する。「ジョブと個人のマッチングだけでなく、個人と上司やチームメンバーとの相性も考慮したリコメンドが可能になります」

 採用領域では、価値観や相性など多彩な情報を使ったマッチングによって、「大量の候補者を集めて選考する形から、この人を仲間にしたいという人をピンポイントで口説く形に変わるでしょう」と予測する。新ビジョンに基づくサービスは、2026年から本格展開する予定だ。

カオナビ
代表取締役社長CEO
佐藤寛之
Hiroyuki Sato

 佐藤氏は「この20〜30年、日本の労働生産性やエンゲージメントが低い状態はあまり変わっていません。しかしいま、プロダクトとAI、ソリューションの3つを組み合わせれば、今度こそ変えられるかもしれない。そう信じて事業に取り組んでいます」と語る。

 変化のスピードが加速し人材の価値観が多様化する時代において、カオナビの新ビジョン「Talent intelligence™」は、人事領域の課題解決だけでなく、働くすべての人々の可能性を引き出す変革の出発点となりそうだ。

■お問い合わせ
株式会社カオナビ
〒150-6138 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 38F
URL:https://www.kaonavi.jp/
TEL:03-6633-2781(代表)

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