「経営者が目的を持たず、『AIを使って何かやれ』と現場に丸投げする。すると現場はツール選定に終始し、『導入』自体が目的化してしまう。これは過去のDXブームで日本企業が陥った『形だけの変革』と同じ構図です」
実際、多額のIT投資を行っても、生産性向上などの実利を得られている企業は驚くほど少ないことが指摘されている。
日本企業のデジタル変革が失敗する構造的な要因はどこにあるのか。
執行役員副社長
グローバル プロフェッショナル
サービス本部長
布施将義氏
MASAYOSHI FUSE
布施氏は、日本企業特有の「100点主義」と「現状維持バイアス」を挙げる。「日本の現場は真面目です。たとえば、現在の業務プロセスの9割がパッケージソフトで賄えても、残りの1割の特殊業務のために、莫大なコストをかけてカスタマイズしようとします。『いまのやり方』を変えたくないからです。しかし、それではシステムが複雑化し、将来的なアップデートや新技術の導入も困難になる事態を招きます」
さらに深刻なのがデータの「サイロ化」だ。同社ソリューションコンサルティング本部長の佐藤幸樹氏はこう指摘する。
「多くの企業で個別システムが乱立し、データが分断されています。AIエージェント機能の大前提は『正しいデータ』。データがばらばらな状態で導入しても、AIは判断基準を持てず、誤った判断を自動化するだけ。これでは変革どころか混乱を招きます」
経営層は「ITはわからない」とIT部門やベンダーに丸投げし、現場は「いまの仕事を変えたくない」と現状維持に固執する。「誰もオーナーシップを持たず、責任を押しつけ合うこの『組織的な無関心と硬直化』こそが、変革を阻害する真因にほかなりません」
では、この閉塞感をどう打破すればよいのか。
その解決策の一つとしてインフォアが提唱するのが、業界特化型クラウドERPで実現する「Industry Complete(インダストリー・コンプリート)」という概念だ。佐藤氏は最大の特徴を「細分化された業界への特化」だと語る。「自動車部品、食品飲料など、サブインダストリー(業種)ごとに、業界特有の機能やベストプラクティス(標準プロセス)が実装済みです」(佐藤氏)
これは、日本企業に多い「ゼロからつくる(スクラッチ開発)」アプローチからの脱却を意味する。汎用ERPをカスタマイズするのではなく、標準プロセスに業務を合わせる「Fit to Standard」のアプローチだ。
これにより、導入スピードは劇的に向上し、常に最新のテクノロジーを享受できる環境が整う。