持続的成長を遂げている組織には共通点がある。長期の時間軸を持つ、そして、時代の変化とともに自ら変わり続けることだ。それには、短期と長期という一見矛盾するような見方を両立させることが鍵となる。日本企業の多くが掲げる中期計画の存在自体を否定はしないが、中期目標が最終ゴールになっている限り、持続的成長の姿は描けない。そこで、組織の自己変革の条件を3つ挙げたい。

持続的成長を遂げる組織の共通点

 昨今のグローバル化やデジタル化といった環境変化は、あらゆる企業に持続的成長の難しさと重要性をあらためて問いかけている。

 多くの企業は短期的に利益を出すことに成功しても、持続的成長というテーマに対して将来の道筋を明確に見出せないでいる。変化が激しく不確実な時代に、遠い将来を正確に予測して道筋を示すことは困難を極める。

 先行きが見通しにくい時代にあって企業が持続的に生き永らえるにはどうすればよいのだろうか。

 その答えは、時代とともに変化し続ける競争力のある組織になることだ。

 200年以上の歴史を持つデュポン日本法人の名誉会長、天羽稔氏は、競争力の源泉は組織力だと語る。

「企業はマーケットで勝って、成長させないと潰れてしまいます。勝つためには競争力を持つこと。競争力は組織が持っている力です。いくら良い製品をつくろうが、新しい市場を開拓しようが、遅かれ早かれ競合が出てきてコピーされていきます。でも組織力は簡単にはコピーできません。だから競争力がある組織をいつも目指しています」

 勝ち続ける組織について、サッカー元日本代表監督の岡田武史氏は、常に変化し続けることの重要さをこう説く。

「進歩より前に変化することが大事。たとえ組織は進歩しなくてもいい。でも変化しなきゃいけない。変化しないと、組織はどんどんだめになっていく」

 持続的成長を遂げている組織には共通点がある。

「長期の時間軸を持ち、時代の変化と共に自ら変わり続けることができる」

 一言でいえば、そう表現できる。

 持続的成長を可能にするには、組織が、長期的にブレない軸を持ちながら、自ら変革を続ける力を有すること。すなわち組織の「自己変革力」こそが競争優位であり、持続的成長の源泉なのだ。

「自己変革力」を持つための
3つの条件

 持続的成長を可能にする組織の自己変革力とは何か。組織が自己変革力を持つための条件は3つある。

1.長い時間軸を持つ:「10年先と現在(いま)」を併せ見る
2.自ら気づき、変化する:平時から危機感を持って自ら変わることができる
3.変革を継続する:組織の学習により再現性を高め、変革を継続する