2016年5月に、より実際的なビジネスに近い出題内容に変更されたTOEIC® Listening & Reading Test。企業の昇進・昇格の要件として広く活用されているが、2007年から開始された“話す・書く”能力を測るTOEIC® Speaking & Writingも、アウトプットの英語力を育成するテストとして関心が高まっている。TOEIC® Programはどこへ向けて進化するのか、IIBCの永井聡一郎氏に聞いた。

IIBC・IP事業本部
IP普及ユニット
永井聡一郎 ユニットマネジャー

 世界約150カ国で実施され、年間約700万人が受験するというTOEIC® Listening & Reading Test。今、日本国内でTOEIC® L&Rスコアを「昇進・昇格の要件としている」「将来、要件にしたいと考えている」企業の比率は、約4割に及ぶという。

TOEIC® Programを実施・運営するIIBC IP事業本部 IP普及ユニットの永井聡一郎ユニットマネジャーは、「TOEIC® L&Rは、昇進・昇格の要件など人事考課に活用されるほか、海外出張や駐在の基準、新入社員の英語能力測定、自己啓発や英語研修の効果測定に使われています。昇進・昇格のスコアは企業によって違いますが、最近は社員の英語力の底上げを図るため、3〜5年かけて要件スコアを引き上げる企業が増えています」と語る。

 

2015年度 受験者数と平均スコア:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
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昇進時により重視される例が増えてきた

 ある会社では、従来の昇進条件は550点だったが、数年かけてスコアを徐々に引き上げ、来年度から730点になるという。TOEIC® L&Rは資格試験ではないため、合否ではなく10点〜990点のスコアで評価される。そのため、健康診断のように定期的に受験して英語力を維持・向上するのが本来のあり方なのだ。

 「それだけ、英語の重要性がクローズアップされてきたということです。一昔前と違うのは、今や国際部門だけに英語力が求められるわけではないこと。例えばメーカーの製造部門が、現地法人のマーケティング部門と直接やり取りして、新製品の開発を行なうというケースは少なくありません。売上高の7、8割は海外なのに、英語を使える社員が1、2割という企業は意外と多く、英語力のある社員の育成が切実な課題となっているのです」

 

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