インターネット上の情報が充実し、製品・サービスを簡単に調べられるようになった。候補を絞り込むまで営業担当に会う必要がなくなった顧客の開拓は難しさを増している。いま必要なのは、ネットで事前に情報収集している段階の顧客へのアプローチだ。SATORIのマーケティング・オートメーション(MA)ツールは、そのためのテクノロジーと仕組みを提供。設立1年で100社以上が導入している。
購買プロセスの最初の相手は
人からネットに変わった

「最近、私が体験した家を買うプロセスを考えてみましょう」。マーケティング・オートメーション・サービスを提供するSATORIの代表取締役、植山浩介氏は語り始めた。
「広い運動場がある小学校に子どもを通わせたい」と考えた植山氏は、都心から少し離れた場所へ引っ越すことを検討、評判のよい学校、住環境がある地域をネットで調べ始める。
最初の調査段階で、A市がよさそうだと結論づけた植山氏は、次に、売り手のウェブサイトで不動産情報を収集する。まだこの段階では、植山氏は匿名のまま調査している。連絡先などを不動産業者に初めて明かすのは、その次の段階。
いくつか気になる物件を見つけ、業者に資料請求する際だ。こうして収集した10件の物件情報の比較表をつくった植山氏は、さらに3件ほどの候補に絞り、業者を直接訪問した(図表1)。
この話のポイントは、購入プロセスの大半は、営業担当に直接会う前に終わってしまっているということだ。以前なら、不動産に詳しい人だった最初の相談相手は、いまやネットになった。これは不動産販売に限ったことではない。
BtoBビジネスでも、非対面のネット調査段階で、比較表の候補に残ることができなければ、コンペに参加すらできない。「だからこそ、早い段階で手を打つことが重要」と植山氏は強調する。