創業60周年を迎える日本のコンサルティングファームのパイオニア、タナベ経営。「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」の創造をミッションとし、300人を超える「戦略パートナー」が全国で企業繁栄に貢献している。昨年、東証1部への上場も果たした同社のコンサルティングモデルについて、若松孝彦社長に聞いた。

ファーストコールカンパニーの
創造をミッションに

代表取締役社長
若松孝彦氏

 「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」(以下、FCC)。タナベ経営では、顧客価値において一番であり、持続的成長を続ける会社をこのように定義し、その創造をミッションとしている。

 FCCに必要な特性は、①顧客価値のあくなき追求 ②ナンバーワンブランド事業の創造 ③強い企業体力への意志 ④自由闊達に開発する組織 ⑤事業承継の経営技術である。

 これらは、60年間におよぶ同社の圧倒的なコンサルティング実績が証明したものであり、「5つの宣言」としてクライアントと価値共有されている。

 「戦略や経営は大局着眼・小局着手、望遠鏡と顕微鏡の両方が求められる経験科学。私たちビジネスドクターにとっては、高度な専門性を高度に総合化して発揮することと、臨床事例が最も重要なのです」。こう語るのは、代表取締役社長の若松孝彦氏だ。

 デジタル・人事・財務などの機能に特化したアプローチをするコンサルティング企業もあるが、若松氏は、「現実の経営において、課題の本質を見抜くには、必ず“全体を診る”必要があります。ですから、医療の世界と同様、コンサルティングにおいても“チーム”が重要。当社も、豊富な臨床事例に基づく独自のチームコンサルティングメソッドを確立しています」と説明する。

高度な戦略課題を解く
チームコンサルティング 

 同社では、未来に向けた戦略課題を20分野のドメイン・ファンクションにセグメントし、研究している。ドメインとは食品・フード、ヘルスケア、住まい・暮らし、アグリ、観光などの「事業領域の戦略」、ファンクションとは中期経営計画、次世代経営、人材育成などの「組織デザイン戦略」である。顧客課題に応じて、これら各分野の戦略パートナーがチームを組成し、高度な専門性を総合的に発揮する戦略コンサルティングモデルを同社は確立している。

 「ファンクション(組織デザイン)をドメイン(事業領域)に応じて異業種からもミックスさせることにより、“ホールディング経営”や“コングロマリット戦略”などの高度な課題も解決する。従来型の業種・業態にとらわれず、新たな顧客価値を起点としたビジネスモデルをデザインできる点もクライアントに評価いただいています」(若松氏)。