モノのインターネット(IoT)により、リアルな活動データは簡単にデジタル化できるようになった。集まった大量のデータを分析する人工知能(AI)も急速に進化している。先端技術によって新たなビジネス価値を創造しようとする企業に対して、デリバリーコンサルティングは「AI in BI」というアプローチを提唱している。
IoTで企業活動を可視化し
意思決定と生産性向上に生かす

あらゆる産業分野でデジタル化が進展し、さまざまな企業が工場や店舗、製品などにIoTを実装しようとしている。ただ、企業にとって悩ましいのは、IoTやAI、クラウドなどの新しい技術が並行して、しかも急速に進化していることだ。目配りすべき技術が多すぎて、「どこから手をつけるべきか」と迷っている企業も多い。そんな事情もあってか、企業におけるデジタル活用は思ったほど進んでいないように見える。
スピードが重視される現代、社内の議論に時間をかけすぎるわけにはいかない。IoTやAIは「ハードルが高い」と思われがちだが、センサーやコンピューティング能力の進化と低価格化により、実用に向けたハードルは低くなっている。
「例えば、小売店舗におけるカメラの活用です。蓄積した膨大な映像から人間が何かを読み取ろうとしても、多くの人手と時間が必要になるので、あまり現実的とはいえないでしょう。AIを使えば、来店客の動きなどを分析するのは難しくありません」。そう語るのは、デリバリーコンサルティング社長の阪口琢夫氏である。同社はテクノロジーコンサルティングを通じて企業の変革、デジタルトランスフォーメーションを支援している。
阪口氏は続ける。「工場の生産ラインをカメラでモニターし、AIで分析すれば、生産性低下の要因となる異常な行動などを検出できるでしょう。一方、オフィス環境では、ロボットが特定の業務プロセスを担うRPA(Robotic Process Automation)の活用が始まっています。AIやRPAなどにより、大量のデータを簡単に分析し活用できる環境が整ってきたのです」
IoTは、リアルな世界をデジタル化する手段でもある。カメラや各種センサーが収集するIoTデータは企業活動を可視化し、分析可能な状態にする。「分析結果を活用することで意思決定の質とスピードが向上し、生産性向上やビジネス変革につなげる。それがデジタル化の真のゴールのはずです」と阪口氏はいう。