ライフレイは、社内外に散在しているさまざまな情報を効率よく閲覧し活用するためのWebソリューションソフトを手がける企業だ。同社は長年培ったポータルの実績を基に、より総合的なサービスを提供するため、2016年にDXP(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)の領域に進出した。社員700名の同社が、IBMなどの巨大な競合企業と戦える理由や、日本企業におけるこれからのデジタル戦略のあり方などを、ライフレイCEOのブライアン・チャン氏と、日本法人社長のブライアン遠藤氏に聞いた。

原点はオープンソース
利用者が潜在的な開発者

ライフレイ 最高経営責任者CEO
ブライアン・チャン氏

2004年に共通の教会で出会った友人たちとライフレイを創業。全社で社会貢献活動に注力し、年間の利益のうち10%を、LIFERAY FOUNDATIONを通して世界中の救済支援活動に寄付。東日本大震災以降は毎年来日し、石巻の「のぞみプロジェクト」スタッフから贈られたアクセサリーを大切にし、復興のためのボランティア活動に取り組んでいる。

「ビジネス、テクノロジー、コミュニティを通して、社員、取引先、顧客など、全ての人が最大限のポテンシャルを発揮できるように、ソフトウェアで支援する」というビジョンのもと、“DXP”というソフトウェアを開発している企業が、ライフレイである。DXPによって、業績、人事、営業、顧客、商品データなど自分が知りたい情報を一つの画面にまとめて表示し、定点観測や対話型の操作によって簡単に情報へのアクセスが可能になる。

 2001年、創業者で現CEOのブライアン・チャン氏がオープンソースポータルの提供を開始。2004年に米国でライフレイを創業。現在、米国4拠点のほか、世界各地に合計23拠点を設け、日本には東京と岩手にオフィスを構える。

 ライフレイの原点は“オープンソース”と呼ばれる、技術の中身を公開して無償で使ってもらう文化にある。ソースを公開することで多くの利用者に使ってもらうことができ、利用者は独自にカスタマイズし、柔軟に運用することが可能になる。さらに、エンタープライズ企業向けには年間サブスクリプション契約による充実したサポート(英語・日本語・その他)とコンサルティングサービスを提供し、現在までに世界1800社以上の利用実績を誇る。

 市場調査会社の米ガートナーによる企業評価「マジック・クアドラント」によると、ライフレイはポータルソフト部門で、2010年からIBMやMicrosoftと並んで、ビジョンと実行力がともに高い「リーダー」のポジションにいる。

「当社の強みは、他社買収を伴わない完全に自社で開発した製品と機能群にあり、ベンダーロックインしない柔軟性と、競争力のある総所有コストの提案にも自信があります」とブライアン・チャン氏は自社の特長を語る。今後はDXP市場でも「リーダー」を目指し、デジタル化の加速と同時に、「人間性」も取り入れた顧客体験を提供していきたいと話す。