ソフィアは、コミュニケーションを軸としたソリューションで「人と組織を元気にする」コミュニケーション・デザイン・カンパニーだ。顧客経験価値向上の取り組みが求められる時代、注目される同社のミッションとサービスの特徴を廣田拓也社長に聞いた。
カスタマー・エクスペリエンス
向上の阻害要因はなにか?

チーフ・コミュニケーション・オフィサー
廣田拓也
1970年兵庫県生まれ。大手電気メーカー、米国系IT企業の日本法人の経営を経て2001年に起業。「人と組織を元気にします」をミッションとして掲げ、インナーブランディングや組織開発のコンサルティングを中心に事業展開。共著「コーポレート・コミュニケーション・デザイン入門」(英治出版)。
「本来、組織内のコミュニケーションは、顧客への価値提供のために存在するものです。組織内のコミュニケーションが機能していれば、働く人が自分の仕事の目的や意味を理解して、やりがいや誇りを感じることができます。また、従業員が主体的に動き、有機的に役割を補い合うことで、枠にとらわれない新しいアイデアを顧客のために生み出すことができるようになります。このように、日ごろの職場で生まれる従業員の経験価値(エンプロイー・エクスペリエンス)を高めることで、顧客経験価値(カスタマー・エクスペリエンス)を向上させることができるのです」。そう語るのは、インナーブランディング分野におけるパイオニア的存在であるソフィアの廣田拓也代表取締役社長である。
インナーブランディングとは、従業員一人ひとりが企業のビジョンや経営理念などを深く理解・納得し、当事者意識を持って行動するよう促し、最終的には企業価値を向上するための取り組みである。
しかしながら、日本企業の多くは、トップダウンで意思決定することを主眼に置いた従来型の組織体制で運営を続けており、市場の変化に対応するために必要な部門間連携や社内外とのコラボレーションが生まれにくい。その結果、顧客視点での商品・サービス開発やイノベーション創出が進みにくい状況に陥っている。

「もともと従業員に多様性がある欧米の企業では、経営者が従業員に戦略やビジョンを“伝え切る”のは当然の責務であると考えており、社内に対するコミュニケーションを仕事と捉えて予算をかけています。ところが日本の企業では、この努力を怠っていることが多い。さらに、現状に合わない組織構造やプロセスにも、なかなか手を入れられていない。結果として、戦略と実務の齟齬が生じ、実務を担当する従業員の混乱やあきらめムードを招いてしまうのです」
従業員が職場内で体験する様々な事象が、戦略やビジョンに則する形で一貫していれば、おのずと前向きな行動が生まれてくる。そうすれば、会社や仕事に対して魅力を感じることができ、顧客に提供する価値も必然的に向上していくのだ。