社員230人ほどの少数精鋭集団のレイヤーズ・コンサルティングだが、クライアント企業の平均売上高は1兆2000億円、しかも取引継続率90%を誇る。同社はなぜ日本のエクセレントカンパニーからビジネスパートナーとして選ばれ続けるのか。代表取締役CEOの杉野尚志氏に聞いた。
コラボレーションを促し
イノベーションを実現する
ー コンサルティングファームとしての御社のミッションは何ですか。

代表取締役CEO
杉野尚志 氏
杉野 私たちはみずからを「戦う創造集団」と規定しています。創造とはイノベーションということです。
たとえば、戦う非創造集団とは軍隊であり、戦わない創造者とは研究者であると言えばわかりやすいでしょう。イノベーションの起こらない組織は滅びます。また、他社との競争に勝てない企業も滅びます。戦う創造集団として、企業が勝ち残るためのパワーエンジンとなるのが私たちのミッションです。
イノベーションは一人では起こせません。私たちは、企業、業界、社会で当たり前とされている既成概念やルール、プロセスを創造的に破壊し、他者とのコラボレーションを促進します。これまで400社、700プロジェクトを手がけた実績から、グローバルなネットワークを持っており、それを活かした多種多様な協働で、オープンイノベーションを実現しています。私たち自身がイノベーションを起こす集団でもありますが、それ以上にイノベーションを起こす人たちと、イノベーションを望む人たちを結びつけることを使命としています。
当社は外資ではなく、日本に根ざしたコンサルティングファームです。また、非上場で、独立資本である利点を活かし、中長期的な視野で企業を支援しています。ITベンダーからも独立していますので、システム導入を目的としたソリューションを提供することもありません。その意味で、真のクライアントファーストの立場に立ったサービスを提供できる点が大きなアドバンテージです。
ー どのような方針でコンサルティングに当たっていますか。
杉野 大きく4つの方針があり、第一は「熱い思いと冷徹な計算」です。
当社には20人の公認会計士がおりますが、企業の監査は行いません。過去を見るのではなく、未来を一緒につくるために集まった集団だからです。どうしたらお客様が成長できるか、クライアント企業の経営に熱い思い入れを持って、一緒にやっていこうという気概があります。同時に、お客様のためなればこそ、シビアな計算も欠かしません。第三者としての客観的な分析、判断を冷徹に行うことを心がけています。
第二に、机上の空論ではなく「現場」「現物」「現実」をしっかり見る「三現主義」を貫いています。お客様の現場に常駐し、責任を持って実行をサポートしています。
第三に、「ミドルアップ・ミドルダウン」です。日本の企業はミドルマネジメントが動かしているといっても過言ではありません。欧米のようにトップダウンでものごとを進めようとしてもうまくいきません。ミドルマネジメントが本当に腹落ちするように彼らと本音ベースでディスカッションしながら、実務面でもサポートしています。
そして第四の方針が「ロングリレーションの確立」です。クライアントとの取引継続率は90%、ほとんどが10年以上のお付き合いです。私たちは企業にとってのホームドクターとして、いつでも相談いただける関係を大切にしています。