「石碑」のように放置されがちな「企業理念」

 経営トップにとって従業員のエンゲージメントの醸成は普遍的とも言える課題だ。エンゲージメントは会社に対する「思い入れ」や「愛着心」などと訳されるが、その本質は「従業員と組織が一体となって双方の成長に貢献し合う関係」にある。

 そうした関係をつくっていくための「起点」になるのが会社が掲げる「理念」や「ビジョン」だ。つまり会社の存在理由を宣言したものであり、「なぜ会社に人が集まり働いているのか」を明らかにする。

シンクスマイル 新子明希CEO

 しかし、理念の重要さは理解されても、それが現場に浸透せず、「従業員と組織が一体になって双方の成長に貢献し合う関係」に結びついている例はまれだ。人材育成や社内モチベーションアプリなどを手掛けるシンクスマイルの新子明希CEOは経営者の理念が現場に浸透しない理由として「理念の形骸化、未発信、長文化」を挙げる。

「理念はあるが、石碑に刻まれた文言のように放置され、今に役立つ具体的な方策が発信されず、ダラダラと長い文言で直感的に理解しにくいものが多い」(新子CEO)。

 逆に理念が現場に浸透し、活発に「理念の具体的な展開」が模索されている会社はどのような姿を見せているのか。シンクスマイルの調査では、成長とエンゲージメントの力強い関係が浮かび上がっている。

「理念浸透とエンゲージメントの向上で重要なのは、理念の文言もさることながら、理念を起点にどのような価値を創造しようとしているのかを共有すること。『私たちはこういうサービスや製品をお客様に届けたかったのではないか』というバリューの気づきを促す仕掛けが必要です」(新子CEO)

 その仕掛けとは一体どのようなものなのか。

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