日本企業のチームワーク力の高さは、経営手法そのものにあった。つまり終身雇用を守り、その上でさまざまな職種を経験させるゼネラリックな職能の育成だ。それは言葉を換えれば「人を組織に溶け込ませる」ものであり、強い帰属意識を背景にしてチーム力が育まれてきた。しかし日本型の経営手法は今、深刻な効率性の低下に悩まされている。

 その背景には、産業の誕生から成熟に至る期間が短くなる傾向を強めていることがある。自動車にしろ鉄鋼にしろ20世紀中盤以降の産業は、成熟するまでには10年から20年の時間がかかり、そのために人材育成も長期的な視点で対応できた。

 だが産業の主役がITになるにつれて産業の誕生から成立に至るスピードが増し、短期間で競争優位が決定されるようになった。だからこそ日本型経営はIT時代において重要な勝ち星を得られないままに世界競争に引きずられている。何より日本が得意としてきた「長期的な視点でのチーム力醸成」が難しくなってしまった。

 では、どうすればいいか。メンバー間のコミュニケーションとチーム力の醸成ツール「Chatwork」を開発するChatworkの山本正喜CEO兼CTOは、「業務スピードを増しながらチーム力を向上させるには『コミュニケーションの質』を充実させればいい。短い時間でも“濃い”コミュニケーションを取ることが重要です」と語る。

 それを実践しているのがChatwork自身だ。「働き方改革」などと国が旗を振る以前から、メンバーの働きやすさとパフォーマンス向上を重視し、パラレルワーク、リモートワーク、時短勤務を次々と導入。一見、チームがバラバラになりそうな働き方を採り入れながらも成長を続けてきた企業である。普通の企業なら社内に当たり前にある電話、FAXがないどころか、社内コミュニケーションにはメールさえ使わないという。働き方の多様化を進めても、チーム力を落とさない組織作り。Chatworkではなぜそれが可能なのか?

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