まだ十分使えるのにメーカーのサポート終了で廃棄を余儀なくされる大量のコンピューター機器。資源の最適活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた新規投資の創出のためには、中古機器の買取やEOSL延長保守といったサービスを活用することがポイントになる。EOSL製品の買取・保守を専業で展開するゲットイットの廣田優輝社長に、ビジネスの意義と可能性を聞いた。
「まだ使い続けたい」というニーズ
に応える第三者保守サービス
――ゲットイットは、メーカーのサポートが終了したり製造が中止になった「EOSL(End of Service Life)」機器を扱う企業の中で国内最大級の事業規模を誇ります。具体的にはどういうビジネスなのでしょうか。

代表取締役
廣田 優輝
YUKI HIROTA
1980年生まれ。学生時代から中古サーバーの買取・販売を手がけ、2001年にゲットイットを設立。これまで35万台以上のサーバーを取り扱ってきた業界屈指の豊富なノウハウを活かし、IT資産の持続可能な運用を実現する「サスティナブルコンピューティング」を推進している。
企業が使うサーバーやネットワーク機器は一定の保守期間が終わると、部品交換、修理などのサービスは受けられません。ユーザーとしては「まだ壊れていないから、メーカー保守が切れてもまだ使い続けたい。保守を延長したい」という思いがあります。そこで、メーカーに代わって第三者としてEOSL機器の保守を担うのが私たちのサービスです。
当社のEOSL延長保守、一般に第三者保守といわれるサービスでは、OSの更新こそ提供できないものの、ハードウェアの故障についてはメーカー保守と遜色ないレベルでサービスを提供できます。国内外のほとんどの製品に対応していますから、私たちにサービス提供をワンストップ化していただくことで、企業は大幅に保守コストを削減することができます。
こうしたサービスを可能にした背景には、これまで20年近く培ってきた中古IT機器の買取・販売実績があります。社内には累計35万台のサーバーの買取査定を行ってきたサーバー鑑定士がいて、サーバーの状態を見極めるノウハウが蓄積されています。都内に徹底したセキュリティー管理を施した2000㎡の自社倉庫を擁し、常時10万点以上、サーバーやルーター、パーツ類を在庫していますから、部品交換など修理サービスも迅速に行えるのです。

――保守や買取サービスでは、主要顧客はどんな企業ですか。
第三者保守では重工業、医療、金融などのテクノロジーの変化が比較的ゆったりとした企業が多いですね。一方で買取では、IT、ゲーム、通信、ネット系など技術革新に合わせてサーバーを常に更新する企業が多い。いずれにしても大企業顧客が多く、大手鉄鋼メーカー、通信大手3社、メガバンク1社とは長いお付き合いがあります。
――この4年で、取引企業が675社から900社へ、売上高も9・6億円から20億円へと倍増しています。急伸の背景には何がありますか。
コンピューター・ハードウェアの能力はめざましい勢いで進歩してきましたし、ソフトウェアもバージョンがアップするたびに大幅な機能追加を重ねてきました。しかし、この5年ほどはサーバー製品についてはソフトウェアのバグも少なくなり、ハードウェアのコストパフォーマンスも安定するようになりました。
にもかかわらず、保守コストは毎年かかるし、新製品へのリプレースの誘いも常にあるわけです。企業のIT予算の中でこの保守コストは35%に上るという試算もあります。望まないシステム更改を迫られたり、保守コストがかさむことが、日本の場合は特に、DXの推進を阻んでいる要因ともいわれています。これを第三者保守に切り替えれば3分の1程度に収まる。企業はその分を新規投資に振り向けることができます。DX推進の気運が、私たちのビジネスにも好影響をもたらしていると考えています。