アジア地域を中心に、ザイオネックスのSCM(サプライチェーン・マネジメント)ソフトウェア「T3SmartSCM」を採用する大手製造業が増えている。コストパフォーマンスの高さから、競合製品から乗り換える動きも目立つ。日本においても、すでに多くの有名メーカーがこれを導入・活用している。同社はPLM(プロダクトライフサイクルマネジメント=製品ライフサイクル管理)分野でもソリューションを展開し、開発から製造、営業など、幅広い部門をテクノロジーでサポートしている。

アジアの製造業を中心に400社以上が「T3」を活用

ザイオネックス
藤原玲子 代表取締役社長

 サプライチェーンの見直しに動く企業が増えつつある中で、2000年に生まれた新しいテクノロジー企業への関心が高まっている。MITで博士号を取得したエンジニアたちが韓国で設立したザイオネックスである。最適化やシミュレーションなどの製造業向けシステムを中核に成長を続け、現在ではSCMおよびPLM分野でソフトウェアを提供。加えて、SCM関連のコンサルティング、システム導入サービスも手掛けている。

「当社はサムスンやLGなど韓国大手企業グループに対するソフトウェア提供で事業を成長させ、製品やサービスを進化させてきました。東京と台北、米国にも拠点を設け、グローバルでお客様をサポートしています」と語るのは、ザイオネックス日本法人の代表取締役、藤原玲子氏である。

 コロナ禍によりサプライチェーンの安定性が揺らぎ、供給地やサプライヤーの変更、生産・出荷計画の変更を余儀なくされたメーカーは少なくない。ザイオネックスはこうした環境変化に柔軟に対応するSCMソリューションを提案している。それが「T3(ティーキューブ)」 シリーズだ。18年にクラウドに対応した「T3SmartSCM」をリリースし、導入企業は韓国と日本、台湾に本拠を置くグローバル製造業を中心に400社を超える。

 同社の成長の原動力の一つが、コストパフォーマンスの高さと柔軟性である。複雑なサプライチェーンを最適化する高度なソフトウェアを競争力のある価格で提供。世界的に有名な競合から、T3SmartSCMに乗り換える企業は少なくないという。組み立て系とプロセス系、両方の分野の製造業で高い評価を得ている。

「食品や化学、金属などプロセス系の製造では、組み立て製造よりも制約条件が複雑になる傾向があります。たとえば、同じラインで白い食品の後に赤い食品を作ることはできても、赤の後で白は作れません。いったん設備を動かすと簡単には止められない設備もあります。T3SmartSCMはこうしたさまざまな制約条件下で、サプライチェーンを最適化できます。プロセス系だけでなく、組み立て系製造業のお客様も増えています」と藤原氏は説明する。