ニューノーマルな働き方が広がるなか、従業員の「ウェルビーイング(Well-being、心身、社会的に健康的な状態・幸福感)」を重視した経営が注目されている。その実践を支援する「DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム」を開発したアドバンテッジリスクマネジメント(以下、ARM)の鳥越慎二社長に、同社が目指す方向性について話を聞いた。
PDCAに伴走する
人事課題解決型プラットフォーム

代表取締役社長
鳥越 慎二Shinji Torigoe東京大学経済学部卒業、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院MBA取得。米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーを経て、1994年アドバンテッジパートナーズのパートナーに就任。95年アドバンテッジ インシュアランス サービス設立、代表取締役社長に就任。99年同社をアドバンテッジリスクマネジメントとし、現在に至る。
──ARMの事業は「両立支援」と「健康経営*支援」が主軸ですが、ここ数年で事業領域が広がっているとか。
両立支援事業においては、創業当初から病気やケガにより長期休業した際の所得補償保険GLTDを企業と従業員向けに提供してきました。これに加え数年前からは出産や育児、介護で休業する従業員にも対象を広げ、従業員が抱えるさまざまな課題と仕事との両立支援を開始しました。このサービスの核となる「アドバンテッジ ハーモニー」は、人事の休業者管理業務の支援に加え、休業者が安心して復職し仕事と両立できる環境づくりまでを視野に入れたプログラムも搭載しています。
一方、健康経営支援事業ではストレスチェックを起点とした組織改善サービス「アドバンテッジ タフネス」を提供。結果から見えた課題に対し、個人あるいは組織を対象に最適な打ち手(ソリューション)を提案、実施を支援しています。また、数年前から、心に加え、体の健康に関するデータベース構築、分析、ソリューション提供もスタートしました。
──ウェルビーイングを実現するARMの「DXプラットフォーム」とはどのようなサービスですか。
お話しした「両立支援」「健康経営」サービスを連携させてワンストップで提供するのがDXプラットフォームです。両立支援も健康経営も突き詰めれば目的は同じ。従業員のウェルビーイングの実現です。
当社が目指しているのは、従業員のウェルビーイングによって、従業員と企業がともに恩恵を受けられる仕組みづくりです。従業員のウェルビーイングが実現すれば、エンゲージメントも上がり、それが生産性アップや離職率低下、採用促進などにつながって企業価値が向上します。その結果、さらに従業員のエンゲージメントが向上するというループ(図参照)を回していくのが当社のDXプラットフォームです。
具体的には、従業員の心身の健康データや勤怠、休業・復職などの人事労務情報を集約して「見える化」するとともに、専門的知見に基づいて分析し、課題を抽出、実施をサポートします。