フォーチュン500企業の99%が利用する世界最大級の通信事業者、ベライゾン。世界初の5Gサービスを開始した技術優位性や、自らネットワークを運営するからこそ提供できる高度なセキュリティサービスは、グローバルに事業展開する企業から高い信頼を集めている。日本企業のデジタル変革を加速する同社の価値について、2020年10月にベライゾンジャパン代表執行役員社長に就任した山崎隆太氏に聞いた。
最新の脅威情報に基づく
セキュリティサービスに定評
――ベライゾンは、本国であるアメリカをはじめ、海外では知らない人のいない世界トップクラスの通信事業者ですね。
山崎 高度な通信サービスとセキュリティサービスを融合させ、日本を含むグローバル企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しています。おかげさまで、フォーチュン500企業の99%に加えて、アメリカ以外のさまざまな国の政府機関など、世界中の幅広いお客様にご利用いただいています。

代表執行役員社長
山崎 隆太 氏
セールススペシャリストとして日本NCRでキャリアをスタート。日本SGIでは自ら立ち上げたテレコム・メディア事業を15年以上にわたり率いる。その後、デル・テクノロジーズのエンタープライズ事業統括ディレクター兼ゼネラルマネジャーを経て、2020年10月より現職
ご指摘のとおりベライゾンは、世界を結ぶインターネットバックボーン(拠点間を結ぶ高速・大容量のネットワーク回線)を流れるトラフィック(通信量)の70%以上を押さえており、世界トップクラスです。その安全性や通信品質は、IDCやガートナーといった第三者評価機関からも常にリーダーポジションとして評価されています。
またベライゾンは、この世界中を網羅するネットワークを常に監視するなかで、最新の脅威情報をリアルタイムに収集し、それを反映しながら最新のセキュリティ技術を開発しています。その技術に裏づけられた信頼性の高いマネージドセキュリティサービスを20年以上前から提供しているパイオニアであり、こちらも第三者評価機関から常に最高評価をいただいています。
さらに2018年には、世界初の商用5Gサービスの提供をアメリカで開始しました。最新テクノロジーを初めて市場に投入するというベライゾンの伝統そのままに、先駆者としての技術優位性を生かしながら、プライベート5G(通信事業者が企業の敷地内などに基地局を設置して構築する専用5Gネットワークサービス)の領域でもグローバル企業のデジタル化を支援させていただいております。
――2020年10月に日本法人であるベライゾンジャパンの代表執行役員社長に就任されましたが、それまでも複数の外資系大手IT企業で日本企業のテクノロジーに関する課題解決に長く携わってきたとうかがっています。直近における日本企業の課題は何でしょうか。
山崎 5Gの活用がまだ十分に浸透していないことと、セキュリティへの対応が海外企業に比べるとやや無防備であることに課題を感じています。
日本でも2020年3月から都市部など一部のエリアで商用5Gサービスがスタートしましたが、普及率は2020年末時点で5%未満にとどまっています。日本では依然、ビジネスへの5Gの活用は「少し先の未来」のことと感じている経営者も少なくないようですが、「すでにある未来」として、その技術を積極的に取り入れていくべきではないでしょうか。
セキュリティについては、アメリカ政府によるランサムウエア対策が強化されたことなどから、アメリカ企業を狙っていた攻撃が日本に流れている動きが見られます。対岸の火事だと傍観するのではなく、自らが狙われる可能性が非常に高まっていることを警戒すべきです。
アメリカではセキュリティ対策を重要な経営課題としてとらえ、CEOに直接レポーティングするCISO(最高情報セキュリティ責任者)を置いて対処するのが主流となっていますが、日本ではそうした体制も不十分である企業が多いようです。
特にグローバルに事業展開する日本企業の場合、セキュリティ対策は各現地法人任せになっているケースが多く、アメリカ企業のようにセントラライズされたマネジメントを実践すべきではないかと思います。