デジタルテクノロジーを活用して、企業が生み出す社会価値・環境価値・経済価値を向上させるSX(サステナビリティトランスフォーメーション)。日立コンサルティングは、その推進支援コンサルティングを本格的に開始した。「デジタルの力」で業務変革を支援し、社会と企業のサステナビリティ変革に貢献していく。
企業と社会のサステナビリティを
両立させるSX推進支援
日立コンサルティングは、日立グループが得意とするIoTやAIなどの先端デジタル技術を応用して、企業や公共団体などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するコンサルティングを行っている。
そのノウハウを生かし、21年4月にサービス提供を本格化したのが「SX推進支援コンサルティング」だ。
SXについての解釈はさまざまだが、同社は、「企業の生み出す社会価値・環境価値・経済価値を、デジタルテクノロジーを駆使して向上させ、社会と企業のサステナビリティを実現すること」と定義している。

デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
チーフデジタルストラテジスト
兼 デジタルイノベーションコンサルティング本部 本部長
西岡千尋氏
「本業と社会貢献活動を切り離すのではなく、社会価値と経済価値を両立させる経営モデル、事業モデルの構想と構築を支援します。サステナブル経営では、短期的な収益ではなく、中長期的視点での『稼ぐ力』が必要です」
そう語るのは、同社の西岡千尋氏である。
日立コンサルティングでは、(1)既存事業をサステナビリティに対応した事業に変革する、(2)社会課題を解決する新規事業を創出する、という二つの方向性で企業のSXを支援している。
前者の一例として西岡氏が挙げたのが、廃棄物の再資源化など、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する事業モデルへの変革だ。
「例えば、従来のサプライチェーンマネジメントは、原材料の調達から製造、物流に至るまで、社内における流れを最適化するためのものでした。しかし、回収や再資源化といったプロセスには社外の多くのステークホルダーが関与します。そのデータを統合し、AIやIoTなどのデジタル技術を活用しながら、データドリブンに管理することを支援します」(西岡氏)
実際に日立コンサルティングが支援した輸配送計画最適化では、トラックから排出される温室効果ガスを低減するため、AIを使って車両の数や配送ルートを最適化し、輸送トンキロを削減させた事例がある。
「この輸配送計画ではCO2排出量を8.6%削減し、コストも大幅に抑えることができました。環境価値と経済価値を同時に高め、社会と企業のサステナビリティの両立を果たせたわけです。今後は、上流の調達から下流の回収までサプライ・サーキュラーチェーン全体を最適化していきます」と西岡氏は説明する。