リーダーとしてレガシー(遺産)を残すことは、後世にまで影響を及ぼすことであり、仕事と人生にとって間違いなく大きな意味がある。本人が経営の表舞台から去っても存続するのがレガシーである。レガシーを残そうとすることで、組織と組織で働く人々に最も適切な影響力を及ぼすことができる。

 ビジネスにおいて、レガシーを構築するとは、組織を永続可能な姿に発展させ、より強く、より生産的に、より価値のあるものにするということだ。あるいは、起業家としてまったく新しい組織を創設するということだ。レガシーを意識すれば、長期的視点で組織のことを考えるようになり、短期的利益に引きずられて近視眼的な意思決定を下すことを避けられる。

 レガシーを念頭に置いて日々の意思決定をするには、どうすればよいだろう。幸い、世代を超える意思決定に関する長年の研究によって、レガシー構築を念頭に置いた意思決定と、それを影響力の最大化につなげる方法がいくつか明確になっている[注1]