
取締役副社長
プリンシパルコンサルタント
勝俣良介氏
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グローバル企業の経営を脅かすリスクは、年々増え続けている。サイバーリスク管理体制の甘い海外拠点が攻撃を受けたり、戦争や紛争で危険にさらされたりする事例は枚挙にいとまがない。どうすれば、海外拠点のリスクを潰せるのか。グローバル企業のリスクマネジメントを支援するニュートン・コンサルティング取締役副社長の勝俣良介氏は「経営がリーダーシップを発揮し、4つのポイントでマネジメント体制を強化すること」を提言する。
「現地の事情」に合わせてリスクに優先順位付けすべし
ロシアのウクライナ侵攻に続き、イスラエルによるイスラム組織ハマスへの大規模な報復攻撃など、この2年で地政学リスクはいっきに高まった。
戦争や紛争の影響を受けて、サプライチェーンの寸断や現地拠点の封鎖といった実害を被っているグローバル企業も少なくない。一方、グローバル企業を狙ったサイバー攻撃も年々高度化、巧妙化しており、本社に比べてリスク管理体制の甘い海外拠点がランサムウェア攻撃やビジネスメール詐欺などの被害に遭うケースが急増している。
「海外拠点のリスクといえば、かつては現地トップによる横領や粉飾決算、人権を顧みない現地労働者の使役などが主でしたが、地政学的な不確実性の高まりや、AIなどのテクノロジーの進歩で多様化しています。グローバル企業が成長し、事業を継続するためには、海外拠点のリスクをいかに管理していくかが問われているのです」
そう語るのは、グローバル企業のリスクマネジメントを総合的に支援しているニュートン・コンサルティング取締役副社長の勝俣良介氏だ。
海外拠点のリスクマネジメントで肝心なのは「現地事情の正確な把握と、事情に応じたマネジメントの優先順位付け」だと勝俣氏は語る。
「多岐にわたるリスクのすべてに同じ力を注ぐことは不可能です。どんなリスクが大きいのかは国・地域によって異なるので、現地の事情に合わせて対策の優先順位付けを行います。たとえば、欧米では性差別やハラスメントといった内部問題が引き金となって、不買運動にまで発展する可能性が高い。政情が不安定な国・地域や、水害や地震などの自然災害が発生しやすい国・地域では、BCP(事業継続計画)対策が最優先課題となるでしょう。贈収賄などが頻繁に起こる途上国では、ほかの国・地域以上にガバナンスの強化が求められます」