シャンパンがグラスにゆっくりと注がれ、そのしぶきや波紋が細部まで精巧に描写される。チョコレートがファッジの海にゆったりと流れ落ち、滑らかな波をつくる。映像制作者らは、広告を制作する際にスピードを自由に表現することが多い。研究者らは、12回の実験で、この戦術がいつ、どのように成果を高めるかを探った。

 最初の実験では、被験者976人にチョコレートトリュフの広告を見せた。半数が見たのは前述したようなスローモーションで、残りの半数は通常のスピードで落ちるチョコレートだった。前者のグループの被験者は後者のグループよりも、そのブランドをより高級だと評価した。

 シャンプー、ミネラルウォーター、ワインを使った実験でも同じ効果が見られ、スローモーションは見ているものへの没入感を深め、その商品により大きな楽しみを期待させることが示された。それらの製品を実際に試した場合でも、その差は比較的小さかったものの、効果は維持されたのである。