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イノベーションはなぜ少ないのか
新製品開発のポートフォリオにおいて、平均85~90%の開発プロジェクトは比較的重要性が低いものであり、これらのプロジェクトによって望むような成長を実現できることは少ない。しかし、より有望なイノベーションに、より多くのリスクを負うことで、この傾向を反転させることができる。
1990年から2004年にかけて、成長を目指したプロジェクトの数は増えているにもかかわらず、新製品開発のポートフォリオにおける重要なイノベーションの割合は、20.4%から11.5%へと低下している[注1]。
その結果、安全性重視のイノベーションばかりがあふれている。これは、さまざまなプロジェクトの遅延や組織内のストレスにつながるだけでなく、売上目標の達成にも悪影響を及ぼしている。
私が「小文字のイノベーション」(innovation)と呼ぶ、このような小粒のイノベーションは、継続的改善という意味では必要だが、企業の競争力を強化するものではなく、収益にもほとんど貢献しない。企業にとっても、また社会のためにも、新しい「大文字のイノベーション」(Big I innovation)こそ、隣接市場への進出、革新的な技術開発へと導くものであり、売上予測と成長目標の間のギャップを埋める利益を生み出すものだ。
ある調査によれば、発売された新製品のうち、重要なイノベーションといえるものは14%にすぎなかったものの、調査対象企業がイノベーションから得られた利益の61%が革新的な新製品によるものだったという[注2]。
大文字のイノベーションが取り組まれにくいのは、それがあまりにもリスキーであり、みごと開発に成功しても、リターンを生み出すまでに時間がかかりすぎると考えられているためである。
勝手知ったる市場で改善プロジェクトを繰り返すことに比べれば、たしかに失敗する可能性がきわめて高い。しかし、リスキーなプロジェクトに背を向けてばかりいては、成長の可能性をみずから摘み取ることになりかねない。
この問題を解決するには、さまざまなイノベーションのリスクを正しく評価するシステマティックで厳密なプロセスを導入する必要がある。その際、以下で紹介する2つのツールを並行して利用することをお勧めしたい。