1971年にデザイン会社として創業した同社は、2012年に「サービスデザイン事業部」を立ち上げ、これを機にデザインコンサルティングファームへと進化した。サービスデザインとは、顧客体験の設計のみならず、それを継続的に提供するためにシステムやビジネスモデル、組織、戦略なども合わせてデザインすること(図表参照)。

 すなわち、顧客体験とその実現を支える業務・組織をデザインすることによって、事業戦略、ひいてはビジネスモデルの構築につながるアプローチなのである。戦略立案やビジネスモデル構築という部分では、戦略コンサルや総合コンサルのサービスと競合する。そんな中で、デザイン会社であるコンセントは、どのようにして戦略コンサルや総合コンサルと差別化しているのだろうか。

「当社のサービスの特徴は、人起点の柔軟な発想を持つデザイナーが、クライアントに伴走して実際の業務に入り込み、その中で、どこに、どんな課題があるのかを見つけ出して、その課題を解決するための仕組みも一緒に構築することです。一般的なコンサルでは、課題発見や解決策の提案までは行っていますが、課題解決のためのソリューションを、顧客と一緒につくり込む我々のようなサービスを提供している企業は少ないのではないでしょうか」(大﨑氏)

 同社ではクライアントの関係各所との「共創」を大切にしている。

「企画や営業など立場の異なる人を巻き込み、プロダクトの世界観や価値を可視化し、仮説を生成します。共に試行錯誤して進めることで同じ目的に向かう連帯感が生まれ、持続的に議論ができる関係が築かれます。結果的に人材が育ち組織が活性化し、事業創出や改善力の向上にもつながるのです」(大﨑氏)。デザイン会社だからこそ提供できるサービスだ。

 実際、どのような支援が行われているのか。マンション開発を手掛けるA社の新規事業開発を例に紹介しよう。

DX人材の育成や評価・報酬の制度設計も支援

 開発したのは賃貸マンションの管理を簡便化するオーナー向け「賃貸管理ITサービス」だ。「オーナーの利便性を高めるITサービスを創出する」という課題からスタートし、次のような業務フローで伴走支援した。

「クライアントの担当者3人と当社デザイナー3人がチームを組んで、まずマンションオーナーにインタビューし、どのような要望や不満があるかをリサーチしました。次にその結果を一緒に分析・検討して出てきたアイデアをもとに提案価値やコンセプトを構築し、アプリのプロトタイプを作成。高い価値を継続的に届けるためには、アプリを介して業務を遂行する側の体験も考慮する必要があります。そこでサービスを支える管理会社社員にもインタビューし、検討を重ねてアプリをブラッシュアップするとともに、業務のデザインも進めました」(大﨑氏)

 こうして完成したITサービスは、「従来のアナログな手続きから解放され、困った時にはチャット感覚で気軽に管理会社に相談ができる」など、オーナーから高く評価されている。

コンセント
取締役 デザインストラテジスト サービスデザイナー
大﨑 優
Yu Osaki

 ポイントは「常に顧客を中心に考え、本質的な課題やニーズを見出すこと」と「試しながら考えること」だ。トライアル・アンド・エラーを繰り返すことで、問題点が早期に見つかり、スピーディな開発が可能になる。

 DX人材の採用が活発化しているが、専門職の育成制度や評価・報酬制度が整っていないことも、DX推進が停滞する大きな要因の一つだ。そのため、コンセントでは企業が持つ課題や目的に合わせて最適化した研修プログラムや評価制度を提供している。具体的には、IPA(情報処理推進機構)「DX推進スキル標準」等も参考に組織の特性・文化をふまえてあるべき人材像と必要なスキルを設定し、研修プログラムを開発・実施。並行して評価制度の設計・運用を支援するといった具合だ。

 今後同社では、ニーズが高まっているHR領域に向けてサービスを展開していく。2024年4月には、これまで培ってきたノウハウを整理・再構成し、デザイン人材の開発・組織への実装を支援する「CONCENT DESIGN DOJO」をリリースした。

 大﨑氏は最後にこう締めくくった。

「デザインはもはや企業の基本OSの一つ。顧客起点のデジタルサービスをアジャイルに開発することが可能になります。DX推進でお悩みなら、ぜひ当社のデザイン力をご活用ください」

■お問い合わせ
株式会社コンセント
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 プレファス恵比寿南
URL:https://www.concentinc.jp
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