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グローバル化、デジタル化、脱炭素化といったメガトレンドに対応するために、あらゆる業界で変革が求められており、それを支援するコンサルティングサービスへのニーズが高まり続けている。しかし、「いつまでに、何を成し遂げたいのか」という時間軸とゴールを明確にせず、コンサルタントに丸投げしていては本質的な変革にはつながらない。加えて、コンサルティングファームごとの得意分野や強みを見極めたうえで支援を依頼しないと、「高いフィーを払ったのに、それに見合う成果が得られなかった」という事態に陥りかねない。国内コンサルティング業界の現状と、変革パートナーにふさわしいファームの選び方をまとめた。
2桁成長維持が見込まれる国内コンサルティング市場
国内コンサルティング業界の市場拡大が止まらない。規模や専門性が異なる多様なプレーヤーが存在する業界だけに、全体の市場規模を正確に把握することは難しいが、ITコンサルティングサービスだけでも市場規模はすでに1兆円を超えたと見られる。市場全体では2兆円前後に達するという見方もある。
IT専門調査会社のIDC Japanは、2023〜28年の国内ビジネスコンサルティング市場は、年間平均成長率10.2%と2桁成長を維持すると予測している。
企業が前例のない改革を求められる時に、コンサルティングサービスへのニーズが高まる。近年はグローバル化、デジタル化、脱炭素化といったメガトレンドが続いており、それに対応するためにあらゆる企業が変革を迫られている。デジタル・トランスフォーメーション(DX)、グリーン・トランスフォーメーション(GX)は、引き続き企業にとって重要な経営テーマとなり、当面、コンサルティング需要が衰えることはないだろう。
新たなテクノロジーの登場も、需要を押し上げる。足元で言えば、AIだ。
米オープンAIがチャットGPTを公開して以来、生成AIブームが巻き起こり、それまでは専門家が扱うものだったAIが、一般の消費者や企業にとっても身近な存在となった。2024年から25年にかけては、自律的にタスクを遂行するAIエージェントが続々と登場している。AIを活用した経営変革、すなわちAIトランスフォーメーションが今後本格化し、コンサルタントが活躍する場面が一段と増えそうだ。
そのほか、企業統治の機能不全がさまざまな形で露呈する中でのガバナンス改革、投資家から人的資本経営への関心が高まっていることによる人事・組織変革なども、多くの企業にとって重要な課題となっている。
そうした幅広い変革ニーズに応えるコンサルティングサービスの主要セグメントについて、簡単に説明しよう。
主に経営層を対象に、戦略立案や中長期の経営プラン策定、事業開発などを支援するのが戦略コンサルティングである。
戦略の実行フェーズでの支援を行うのが、ビジネス(業務)コンサルティングだ。財務・経理、営業・マーケティング、調達・サプライチェーン、組織・人事といった業務領域ごとにサービスラインを設けているコンサルティングファームが多く、財務・経理、組織・人事など特定の専門領域に特化したファームも存在する。
いまや業務の遂行とITは切っても切り離せない。ITシステムの開発・実装・運用を担うのが、ITコンサルティングである。