ファームごとの得意分野をどうやって見極めるか
かつては、戦略、ビジネス、ITというセグメントがかなり明確に分かれていたが、最近はその境目がどんどん曖昧になっている。
いくらいい戦略を立案しても、実行が伴わなければ絵に描いた餅に終わってしまう。そのため、戦略コンサルティングを得意とするファームが、ビジネスコンサルティングの領域もカバーするようになってきた。
一方、業務改革プランを立てたら、そのプランに沿った業務システムを開発・導入する必要がある。逆に、業界ごと、業務領域ごとの標準的なプロセスやベストプラクティスが組み込まれたパッケージソフト、クラウドアプリケーションの導入を先に決め、それに合わせて自社の業務プロセスを再設計するケースもある。結果的に、ビジネスコンサルティングとITコンサルティングの相互乗り入れが進み、両方を手がけるファームが増えた。
さらに、大手のファームは戦略から実装・運用までを一気通貫でサポートする体制を強化しており、総合ファーム化が進んでいる。
このようにセグメントが流動化しているとはいえ、やはり得意分野の違いは残っている。したがって、コンサルティングを依頼する際には得意分野をよく見極めることが重要だ。見極めのポイントとなるのが、人材の質と量である。
コンサルティングファームの競争力の源泉は、ほぼ人材だけと言っていい。人材の質と量が、コンサルティングの質を左右する。自社が依頼しようとしているコンサルティングの要件に適したスキル、経験、実績を持つ人材をどれだけ抱えているファームなのか。提案を依頼する前、あるいは提案依頼の段階で確認するといいだろう。
コンサルティング需要が増え続けていることから、国内コンサルティングファームの多くが慢性的な人手不足となっている。そのため、コンサルティングを依頼しても、引き受けてもらえないケースがある。
特に断られやすいのが、いつまでに、具体的にどんな成果を挙げたいのかという、マイルストーンやゴールが明確でない場合である。そうした依頼を引き受けてしまうと、コンサルティングファーム側は余計な手間暇がかかってしまう。
もう一つつけ加えると、ファームによってカルチャーが違う。組織階層がしっかりしていて、動きは着実だがスピードに欠けるといったファームもあれば、オープンな組織でチャレンジ精神旺盛というファームもある。自社の組織風土やプロジェクトの目的に合うカルチャーを持ったファームを選ぶことも、大事なポイントである。