プライベート・ブランドの役割を見直す

 プライベート・ブランドは、多くの消費財メーカーから毛嫌いされている。市場に安物の二番煎じがはびこるだけでなく、消費者が価格に敏感になり、やがては利益を干上がらせてしまう、と考えられているからだ。

 またそれは、強まる一方の流通業のチャネル支配の象徴でもある。たとえば、「プライベート・ブランドは老舗ブランドの力を減退させ、消費者に対してもメーカーの影響力を根元から断ち切り、流通関係者に対してもブランドの威光を翳らせてしまうのではないか」「メーカーは強大な力を持つ流通業の前に屈し、安価な普及品を納入することで満足しなければならない裏方に成り下がるのではないか」といった脅威をメーカーに与えている。

 表面的にはこのような不安も当然に思える。プライベート・ブランドは着実に、人気ブランドからシェアを奪ってきた。アメリカでは現在、日用品総売上げの5分の1は流通業のブランドで占められている。カナダでは4分の1を占め、ヨーロッパにおける比率はさらに高い。

 有名メーカーがプライベート・ブランドを敵視するのももっともであり、彼らが、プライベート・ブランドを供給しているメーカーはだまされているのだと主張し、その挙げ句にはこれらメーカーを裏切り者呼ばわりするのも理解できる。

 しかし我々は、このようなメーカーのプライベート・ブランド観そのものが誤っていると考える。消費財市場でプライベート・ブランドが果たしている役割をよくよく考察してみると、もはやそれは単なる「カテゴリー荒らし」とは言えないことがわかる。

 実際にはプライベート・ブランドはさまざまな役割を果たしており、メーカーにも流通業から学ぶべきところは多い。実態をしっかりと理解すれば、メーカーはプライベート・ブランドがもたらすチャンスを生かすことができよう。

 ナショナル・ブランドを持つメーカーすべてが、プライベート・ブランドを供給するようになるとは思えないが、このチャンスをあえて見逃すべきではない。さまざまな理由から、多くの場合、プライベート・ブランドの供給には経済的にも戦略的にも大きな意義がある。

高級プライベート・ブランドの供給は儲かる

 おそらく、プライベート・ブランドに関する最も大きな変化は、その高級化にある。以前ならば、「高級プライベート・ブランド」というのは矛盾した言い方だったかもしれないが、もはやそんなことはない。

 ヨーロッパの流通業に追随する形で、北米の流通業も一流ブランド並み、あるいはそれ以上の品質のプライベート・ブランドを導入し、しかもナショナル・ブランドよりもやや低価格で販売している。セーフウェイやウォルマートをはじめとする流通企業が、品質が良ければそのぶん高くてもかまわないという消費者が多いことに目をつけて、その需要を刈り取ろうとしている。

 高級プライベート・ブランドが従来のプライベート・ブランドと大きく異なるのは、メーカーにも利益を得る機会が生まれてくることにある。これらの商品には高い品質が求められるため、流通企業は納入業者の選定にあたり、価格以上のものを求める。すなわち、商品開発力に定評があり、優れた製造能力を持つメーカーが求められているのだ。