「変容すべき組織」と「変容させない組織」の双方が重要

 それでは、どう対応すればいいのだろうか。生き残る唯一の道。それはスピード感を持って主体的にそして継続的に変容し続ける「『今日構想し、明日実行する企業』へと生まれ変わること」(稲垣氏)だという。

 まず重要となるのは、組織の見直しだ。稲垣氏は「『変容すべき組織』と『変容させない組織』を切り分ける必要があります」と説明する。

 変容すべき組織とは、各部門や子会社、拠点などの現場である。これらは変化を先読みしながら、オペレーションや人員配置などを柔軟に変えられるようにしなければならない。

 一方、変容させない組織とは、現場に「このように変われ」と指示する“司令塔”だ。従来、変革の旗振り役は「経営企画部」のような組織横断部署が担ってきた。そこに優秀な人材を集め、市場を分析し、戦略を練り、各事業部に実行を指示する。しかし、経営企画部では構想までしか対応できず、オペレーションに関しては別の専門家に頼る必要があった。そのため、常にタイムラグが発生する構造なのだ。

 企画だけでなく、現場も含めたあらゆる機能の第一人者を集めた“精鋭部隊”の編成が必要である。「本来的な意味でのCoE(センター・オブ・エクセレンス)を編成するのです。各機能の第一人者がみずからの専門領域を超え、『変容を前提とする企業にするにはどうすればいいのか』という戦略を立案します」(稲垣氏)

 要するに、不動のエンジン(CoE)を中核に置き、その強力な駆動力で、即座に末端までが柔軟に変容し続ける組織にするのだ。

 変容する組織で忘れてはならないのが、組織に属する「人」だ。ただ単に「変われ!」と言うだけでは抵抗勢力を生むだけであり、変わることはできない。変容をプランニングし、変容を牽引するリーダーを育て、変容を隅々まで浸透させていく。すなわちチェンジマネジメントの全社展開である。社員一人ひとりに「なぜ変わるべきなのか」「変わることは、自分にどんなメリットがあるのか」「変わることによるデメリットはどう解消されるのか」を理解させ、変わるために必要な知識やスキルのトレーニングの機会を与えることも必要だ。

 稲垣氏は「特に人への意識づけは、現場任せにせず、経営が直接働きかけることが重要です。一人ひとりの社員にしっかりアプローチする必要があります」と語る。

 突き詰めれば、経営者がリスクを覚悟で強いリーダーシップを発揮し、変革のエンジンとなるCoEを編成する。同時に全社員一人ひとりの変容への道のりをていねいに支援していく。その両輪が揃って初めて、組織は本当に生まれ変わることができるのだ。

「『今日構想し、明日実行する』。これはもはや理想論ではなく、生き残るための現実です。ただ我々日本の企業にとっては未踏の地であると思います。当社は創業以来、企業の変革を組織と人の変容と捉え、個社の状況を十分踏まえたコンサルティングを実施してきました。CoEやチェンジマネジメントを適用するKnowHowも蓄積されています。それらを最大限に活かしながら、日本の強みを守り、変革に向かっていく企業を支援していきます」(稲垣氏)

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