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世界のビジネスの多くが、人、商品、情報をさまざまな地点から、別のさまざまな地点へと動かしている。こうしたネットワーク・ベース・ビジネス(ネットワークを基盤としたビジネス、以下NBB)の形態は多種多様である。たとえば遠距離通信会社、運輸会社、金融機関、健康医療団体(HMO)の場合さえある。
しかし、形態は違えど、そこには多くの共通点がある。ここ20年間に規制の撤廃があり、それ以来、むしろ不況が続いているということである。たとえば、輸送に関わる多くの分野では、長期利益が漸減している。銀行の支店は慢性的な過当競争に苦しんでいる。電話関連事業は世界各地で厳しい価格競争を繰り広げている。
もちろん、規制のある状態から競争状態への移行はいつの場合も難しい。しかし、その問題はさておいても、ネットワークの経済性はつかみにくい、厄介なものである。
NBBの価値の大部分は「輸送効果」から生じている。これは、顧客の望む形で入口と出口を接続する場合に生まれる、固有の価値である。つまり、顧客はネットワークの連結(リンク)の如何に価値を置くのだ。しかし、顧客がこうしたリンクをどの程度重要視しているのかを把握することは難しい。
情報技術の進歩によって、現在では個々の利用パターンを追跡できるようになった。これまでは、顧客の利用度はネットワーク全体にわたって均等であり、顧客はすべてのリンクを多少なりとも同等に重視している、とマネジャーは想定せざるをえなかった。
もちろん直感的に、この想定が間違いだとわかる場合も多々ある。しかし裏付けとなるデータがなかった。結局、戦略を組み立て、経営資源の配分についての意思決定を行う際には、それまでの知識や経験による推測に頼るしかなかったのだ。
しかし、今日、新しい情報処理技術と強力なマッピング・ソフトが開発されたことにより、顧客の実際のネットワーク利用状況について、マネジャーは判断できるようになった。また、顧客がネットワークの個々のリンクにどれだけの価値を置いているかについて、新たな洞察を進めることも可能なのである。
我々はこうしたツールを利用して、数多くのNBB、たとえば銀行、電話会社、航空会社、鉄道会社などにおける顧客の利用パターンをまとめて分析した。その結果、顧客がすべてのリンクを等しく重視する場合もあることがわかった。しかし、それは3つの利用パターンの一つにすぎなかった。
2つ目に、顧客がネットワークのほんの一部だけに価値を置いている場合があった。3つ目として、ネットワークの中の、あるリンクだけを重視するパターンも見られた。
NBBを運用する際に基本となる意思決定を行うためには、マネジャーはこれら3つの利用パターンの違いによって異なる戦略を立てなければならない。拠点を開設するか、閉鎖するか、自社と他社のネットワークを接続するか、しないか、ネットワークの構造を反映するビジネス単位をどのように組織していくか、といった判断を導き出すのである。



