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どのように資源配分するかを意思決定する際、その決定がどのような価値を持っているかについて、何らかの計算が必ず行われる。
意思決定の内容は、新商品の発売、戦略的提携、R&D投資、新工場建設といったことが考えられるが、そうした投資の価値をどのように推定するかは、資源配分を左右する重大な決定要因となる。そして資源の配分は、ひいては企業全体の業績に大きく影響を与えることになる。
現在、財務的な分析スキルである価値評価(valuation)を、多くのマネジャーが何よりもまずマスターしたいと思っている。彼らは、財務の専門家に頼らずに、自分自身でそのスキルを身につけたいと思っているのである。
これはなぜだろうか。一つの理由は、財務の専門家でない経営幹部であっても、資金配分制度に従った結論を受け入れざるをえないからである。そして、マネジャーの多くが、さらにファイナンスについて学ぶことになったとしても、資金配分制度がより良いものになっていくことを望んでいるからである。
もう一つの理由は、価値評価を理解していることが、企業の資源配分の決定に参加するために必要となっているからである。
価値を推定するために、いくつかのアプローチを併用している企業が多い。その中には理論とモデルに基づいて定式化されたものもあれば、経験則に基づいた直感的で定式化されていないものもある。はっきりとわかりやすく適用されているアプローチもあれば、なんとなく使われているアプローチもある。
また、個々のマネジャーのスタイルや嗜好に応じて運用されるものもあれば、きちんと手続きを踏んでマニュアル化され、制度の一部となっているものもあるだろう。
マネジャーは価値をいろいろな方法で評価しているが、ここ25年間のトレンドは、明らかに定式化され、はっきりとわかるように制度化されたアプローチへと向かっている。
1970年代には、割引キャッシュフロー分析(Discounted-Cash-Flow analysis/以下DCF法)が、企業価値を評価するのに最適の手法としてもてはやされた。そして、DCF法の中のある一手法が標準とされた。その手法によれば、企業の価値は、その企業が将来生み出すであろうキャッシュフローを加重平均資本コスト(Weighted-Average Cost of Capital/以下WACC)で割り引いて、現在価値に換算したものと等しくなる。



