-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
今日、ほとんどすべての企業のマネジャーは、顧客に対して良質のサービスを提供しなければならないと感じている。しかしその一方で、顧客に焦点を合わせると必ず、避けて通れない問題が生じる。顧客志向になれば、大半の企業は顧客それぞれの要望を満たそうと新製品の開発を計画したり、業務プロセスの追加をしなければならなかった。顧客層や顧客のニーズがますます多種多様になることを考えれば、従来のアプローチでは不必要なコストが間違いなく増大し、ビジネス・プロセスを複雑化させてしまうであろう。
世界中の企業は、新製品の開発やプロセスの追加などの従来の短絡的な手法を避け、顧客にとっての価値を効率良く与えようとマス・カスタマイゼーションを歓迎した。情報技術を活用し、ビジネス・プロセスを柔軟にすることによって、企業は製品やサービスを大量に、かつ比較的低コストでカスタマイズできるようになった。しかしながら、マス・カスタマイゼーションもまた、不要なコストと煩雑なプロセスを生み出すことになると、これらの企業の多数のマネジャーが気づき始めた。どのようなカスタマイズを実施すれば顧客が価値を見いだすかという戦略の検証を、実行に移す前に十分に行っていなかったのだ。それもそのはずで、マネジャーが判断すべき適切なマス・カスタマイゼーションのタイプのフレームワークが、これまで存在しなかったのだ。
我々は、マス・カスタマイゼーションを4つの異なったアプローチに類型化し、
コラボレーティブ(collaborative:共創)
アダプティブ(adaptive:順応)
コスメティック(cosmetic:表層)
トランスパレント(transparent:深層)
と名付けた。マネジャーは製品、ビジネス・プロセス、ビジネス・ユニットの設計・再設計にあたり、どのアプローチが顧客にとってベストなのかを、あらゆる状況を想定して検証すべきである。ときには一つのアプローチで事足りるが、ほとんどの場合、この4つのアプローチのうちのいくつか、または4つのアプローチすべてを組み合わせて顧客に製品・サービスを提供することになる。
4つのアプローチの定義
4つのアプローチがどのような特徴を備えているか、どのような状況に適しているかを要約してみよう。
コラボレーティブ・カスタマイゼーション(共創のカスタム化)とは、それぞれの顧客との対話を通して顧客のニーズを明らかにし、顧客のニーズに正確に合致する商品を見定め、顧客に対してカスタマイズされた商品の提供を行うことである。



