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インターネットが誕生してから、コミュニティという考え方は、インターネントの中に移ってしまった。科学者は、多年にわたってインターネットを、データを共有したり、研究のコラボレーションやメッセージの交換のために活用してきた。要するに科学者は、双方向の研究コミュニティを物理的空間のキャンパスではなく、インターネット上に形成したのである。最近数年間に世界中の何百万ものパソコン・ユーザーが、インターネットやプロディジー(Prodigy)、アメリカ・オンライン(AOL)などの商用オンライン・サービスで探検し始めている。多くのユーザーは、コミュニケーション、情報、娯楽の消費者ニーズをかなえる1つ以上のコミュニティに加入した。最も古いバーチャル・コミュニティの一つである〝WELL〟は、1985年に、最初はサンフランシスコ近郊で、ハイテク狂信者のグループによって始められた。ここ十数年、多くのパソコン・ユーザーが、〝WELL〟を通じて双方向のコミュニケーションを行い、(〝WELL〟を離れた)時間外のオフラインで個人的な付き合いを深めた。
ネットワーク・コミュニティへの比較的新参者である営利企業は、徐々に理解を深めながら、メディアによるユニークなコミュニティ建設の力を利用してきた。通常、今日のインターネット・ビジネスは、だれかが何かを買ってくれるだろうという期待を抱いて、ワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web)に商品を広告する以外、ほとんど何もしていない。たとえば、花屋、卸業者、本屋、酒造業者、耐久消費財メーカーなどは、サイト訪問者についての情報を収集したり、企業に電子メールを送るウェブに店を開いている。少し面白いサイトでは、訪問者にゲームを楽しませたり、製品を電子メールで注文させたりしている。しかし、これらのサイトは、めったにサイト訪問者間のコミュニケーションを深めようとはしない(しかし、〝WELL〟のようにほとんどのコミュニティは、営利目的ではない。事実、インターネットでの営利活動の考えに強く反対している)。
しかしながら、ネットワーク・ビジネスは、ネットワーク時代に適応し、企業ばかりでなく個人にも双方向のコミュニケーション能力を提供することで、顧客との新鮮でありながら、深い関係を築くことができるようになった。ネットワーク空間で利益を得る成功は、多様な社会的かつ商用的なニーズに応えるための電子コミュニティを形成するビジネスにあるように思われる。強固なネットワーク・コミュニティを創造することで、今日のマーケターが夢見るような、莫大な経済的利益をそのつど生みださせるまでに、ネットワーク・ビジネスは顧客のロイヤリティを築くことができるようになる。
コミュニティへの消費者ニーズ
電子コミュニティは、個人のニーズに応じて4種類に分類できる。
第1に商品・サービスの売買を促進したり、商取引に関する情報を配信する「取引のためのコミュニティ(communities of transaction)」が挙げられる。これは、伝統的な価値観からはコミュニティとはいえない。コミュニティのメンバーのだれかが特定の取引の情報をインプットして知らせ、その取引を実現する目的で、加入者に双方向のコミュニケーションを行わせるからだ。
取引のためのコミュニティへの訪問者は、中古車やビンテージ・ワインを買いたいと思っているかもしれない。そして、買う前に他のコミュニティ・メンバーに相談したいと思っているかもしれない。
ウェブ上でワインを販売するサービスである「バーチャル葡萄園(Virtual Vineyards)」は、インターネットのウェブにあって、ワインの販売を目的とした取引のためのコミュニティである。「バーチャル葡萄園」のサイトは、ウェブの訪問者にワインについての情報と、魅力的な特別奉仕価格のワインリストを提供している。ほとんどのワインは、少量しか生産しない葡萄園からのもので、ふだん手に入れることは難かしい。訪問者は、オンラインの申込手続きやオンライン・サービスに電話をして、ワインを直接に「バーチャル葡萄園」から購入することができる。もっとも訪問者は、サイト・マスターに電子メールを出すこと(またワインの初心者が、質問を「酒庫係〈Cork Dork〉」に出すこと)ができるが、訪問者同士が情報を交換することはまだできない。それを真のコミュニティにするために、情報交換機能を付加できればサイトへの来訪者にとっての価値を増やせるかもしれない。
取引のためのコミュニティ・オーガナイザーは、ベンダーになる必要はない。コミュニティ・オーガナイザーは、何らかの取引形態を促進するために、買い手と売り手が連鎖反応を引き起こす臨界点にただ近づけさせればよいのかもしれない。たとえば、一人のコミュニティ・オーガナイザーが、電子求人広告と、中古の建設機械から投資商品やサービスにいたるまで、なんでも買ったり、売ったりできる市場を提供するかもしれない。




