ここ15年来、あらゆる企業という企業が学習してきたことは、「製造する前に、品質を考慮した製品設計を行わねばならない」ということである。

 というのは、組み立てが終わった後で品質をチェックしていては、品質に異常がなければコスト高になるからである。

 今日、最も競争力のある会社は、(前もって行うという)これと同じ理屈で新製品のプライシングを行っている。

 つまり、シニア・マネジャーは、ある製品(または類似製品)を発売する前に、その理想とする販売価格を決定し、その価格に見合うフィージビリティを設定して、それからその価格に相応する原価管理を行う。

 彼らは「目標原価計算」(target costing)として知られている経営管理プロセスを活用しているのである。

 目標原価計算を行うことにより、設計チームは、エンドユーザーや現実的なビジネス・チャンスに焦点を当てた製品開発戦略を立案するようになる。

 日本の主要な電気メーカーや自動車メーカーは目標原価計算を利用してきており、現在では、アメリカ、ドイツ、その他の国の会社でも導入しつつある。

 この厳格な原価管理技術により、シニア・マネジャーは、適正利潤を生まない低マージンの製品を発売しないで済む。加えて、この原価管理技術のおかげで、市場での試みの結果を、生産活動を通じて製品設計者へフィードバックできる。

 開発チームは、目標原価計算を行うことで、適正水準を満たした品質と機能を実現するだけでなく、顧客セグメントに見合った適切な価格をつけて、収益性のある製品を市場に送り出すことができるようになる。

 言い換えれば、製品開発における、設計者や製造エンジニアから、市場調査員、サプライヤーといったさまざまなステークホルダーたちの努力を調和させるのも、目標原価計算の守備範囲である。