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「環境保護のために法規制を強化すべき」とする意見は人口に膾灸しているが、なかなか企業の賛同を得るにはいたっていない。
人々が住みやすい惑星を求めるのは当然にしても、「環境保護規制が競争力を低下させるのではないか」という不安を、企業はなかなか払拭できないでいる。
エコロジーとエコノミーとの間には抜き去り難いトレードオフ関係がある、という見解が一般的である。このトレードオフの一面は、厳格な環境基準を遵守することから得られる「社会的」便益であり、もう一面は、価格値上げと競争力低下につながる汚染防止や浄化のための「私的」コストである。
これまではこのような枠組みの中で議論を続けてきた。したがって、環境の質を向上させる努力は、まるで腕相撲をとるようなものだ。一方が厳密な基準を要求して力を込めると、他方は別の要求を出して押し返す、という具合だ。力の均衡は、その時々の政治的な駆け引きによってクルクルと揺れ動くことになる。
しかし環境規制に、このような固定的な見方をすることは誤りである。なぜなら、「法規制以外のすべては不変である」と決めつけているからである。もし技術や商品、製造プロセス、消費者ニーズなどのすべてが固定しているならば、法規制は必然的にコストアップに帰結するという結論になってしまう。
しかし企業は、経済理論がすべてを支配する固定的な世界ではなく、ダイナミックな競争で生き残るために生産活動を続けるという現実世界に身を置いている。
企業は、コンペティター、消費者、規制当局などから迫られる数々の要求に対して、イノベーティブな解決策を見つけようと不断の努力を惜しまない。
適切な環境基準の設定こそが、商品価値の向上や原価削減のためのイノベーションのトリガーを引く契機となる。企業はこのようなイノベーションによって、原材料から労働力にいたる投入資源の生産性をさらに高め、その結果、環境に与える影響を改善するためのコストを相殺し、自然保護と競争優位のトレードオフを終結させることができる。すなわち、この高度な「資源の生産性」が21世紀の競争力の源泉にほかならない。
具体的な例を見てみよう。
オランダの生花栽培産業がいかにして環境問題を解決したか。オランダでは狭い土地を活かした花の集中栽培が盛んだが、殺虫剤や除草剤や肥料の大量投与が続いていた。当然、土壌や地下水は汚染されていた。



