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グローバルチームの力を引き出す条件
グローバルチームの統括を任じられた欧米のマネジャーには、落とし穴が待ち受けている。彼らの専門知識とトレーニングは通常、欧米流の個人主義的なコンテクストにルーツがあり、自律性、エンパワーメント、平等主義、オーセンティシティといった理想が深く染みついている。
しかし、GLOBEの「リーダーシップ調査[注1]」によると、世界の労働人口の70%は集団主義的で階層主義的だという。こうした価値観は、上海やドバイの従業員だけに特有というわけではない。デンマークのコペンハーゲンや米国ネブラスカ州のオマハで働く移民の間にも見られるものだ。
グローバルチームを率いるには、別のアプローチが求められる。欧米のリーダーシップ指南がまったくの的外れというわけではない。グローバルリーダーにはむしろ、より大きなツールボックスが必要であり、その中にあるツールを「いつ、どのように使うべきか」ということに関して、より高度な理解が求められている。
文化的感受性に関するトレーニング、さらには特定の文化に備えるための研修ですら、役に立たないことが多い。それらは対象を絞り込み、個別事例に頼りすぎているからである。まるで訓練データが不十分なまま、ロボットにボディランゲージを解読し、返答する方法を教えるようなものだ。
リーダーたちが磨かなければならないのは、むしろ「文化的知性」(cultural intelligence)、すなわち異文化間で臨機応変に円滑なコミュニケーションを図り、文化的に複雑な状況に適応する力だ。
筆者は有力な国際的組織と20年以上にわたり、さまざまな文化的背景において従業員やチームをマネジメントする方法について研究を重ね、コンサルティングを行ってきた。筆者の研究では、文化的知性の育成は終わりのない取り組みであり、生涯を通して努力と経験を重ねる中で磨かれるものであることが明らかになっている。
とはいえ、出発点としてふさわしいのは、欧米のリーダーが陥りがちな最も一般的な間違いを理解し、文化的知性をどのように使えばそうした間違いを避けられるかについて学ぶことだ。
1. 過剰な自律性
個人主義的な文化圏出身のリーダーの多くは落とし穴にはまる。自分を動機づけるものは、自分のチームにも同じように通用すると思い込むのだ。つまり、集団主義的な文化圏の人々のやる気を引き出す最善の方法が理解されていないことが多いのである。
誤解は往々にして、自律性、つまりチームメンバーに自分で意思決定を下し、自身の創造性を発揮し、みずから業務を管理するよう促すことをめぐって生じる。
欧米のリーダーシップ研修で一般的なのは、従業員が自由裁量で業務を遂行できるようにすることがエンゲージメントや離職防止、チームのパフォーマンスに不可欠であるという考え方だ。しかし、全員が等しく自律性に動機づけられるわけではない。なかには、リーダーが業務のプロセスと期限を明示したほうが成果を出せる人もいる。そうした人たちは、指導的なリーダーシップを欠く環境では、なかなか生産性を上げられない。個人がどの程度自分で判断を下したり、提案したり、自分の成長過程を描いたりしたいかは、個人主義志向か集団主義志向かによって大きく異なる。



