「バーチャル・コーポレーション」と呼ばれる組織が話題となったために、マネジャーたちは、組織内のありとあらゆる機能をアウトソーシング(外部委託)するように迫られている。

 世界のいたるところで、企業はイノベーションに乗り遅れまいと時流に合わせ、機能を分散し、組織をダウンサイジングし、他社とのアライアンスを形成している。バーチャルな組織という概念は、これほどまでに我々の興味をそそるのはなぜだろうか。

 第1の理由には、官僚的組織は諸悪の根源であり、柔軟な組織こそ優れていると信じられるようになったことが挙げられる。

 第2には、各企業が投資を極力抑えると同時に、市場の変化に敏感に反応して、世界規模の競争優位を形成しようとしているからである。

 大規模で複雑な組織を持つ企業より、小規模で「ネットワーク化した」競争相手のほうが、優れた業績を上げてきたことは疑いの余地がない。PC業界のIBMやワークステーション業界のDECといった、リーダー企業の地位が、パッカード・ベル【*】やサン・マイクロシステムズ【*】(以下、サンと表記)の台頭によって没落したことからも明らかである。

 しかし、バーチャルな組織の成功が数多く伝えられる陰で、それ以上の数の企業が話題にすら上らないうちに失敗している。

 長年にわたって、組織とイノベーションの相互関係を研究してきた結果、我々はバーチャル組織の長所が過大に評価されているとの結論に至った。

 あらゆる機能を自前で抱える大企業は、イノベーションが生まれていく過程で際立った役目を果たしうるものだが、最近はバーチャルな組織こそ優れているというのが、どうやら世間一般的な常識である。

 コア・コンピタンスを維持・育成するよりも、ひたすらアライアンスの形成へと突き進むことは、むしろ将来への大きなリスクを負っているようなものである。