ここ10年の間に、消費財・サービスのすべてのカテゴリーにおいて、かつてないペースの製品点数の増加が起こった。そしてこの氾濫はいまだとどまるところを知らない。ほとんどの企業が製品点数の拡張を戦略として追い求めている。特に派生商品の投入を、全力で推し進めている。

 しかし一方では、もしこうした戦略の管理を誤ると、この攻撃的な拡張には落とし穴があることもわかってきた。すなわち、見えざるコストが増加し、ブランド・イメージの弱体化、卸売業・小売業との関係の悪化を招くのである。

 残念ながら大半の企業では、マネジャーが自社の派生商品戦略に疑問を呈する契機が与えられていない。マーケティング担当者はますます細分化が進行する市場に対応するために派生商品の増強を求め、営業担当マネジャーは営業部員の頭数を増やす口実として、派生商品を利用する。

 生産が複雑になると製造担当マネジャーが懸念し、財務部門はコスト管理を心配するのだが、製品ラインを絞り込むべきだといえるだけのデータを用意するのに必要な情報システムがない。

 どうすれば企業は、製品ライン戦略を客観的に評価できるようになるのか? 絞り込まれ、整然と管理された製品ラインのほうが、結局はより大きな利益を生み、組織全体にとっての資産となることを示すことで解決できるのだが、まず手始めに、上級管理職に染み付いた派生商品は有利だという考えを払拭しなければならない。

派生商品の魅力

 多くの企業が、マーケティング戦略の重要な一端を担うものとして、派生商品を追い求めてきたのには、7つの要因がある。

 顧客の細分化

 マネジャーたちは派生商品を、多様な顧客セグメントのニーズに応える、低コスト、低リスクの手段ととらえている。高度かつ低コストになった市場調査とダイレクト・マーケティングの技術を使えば、より細かいセグメントを、従来よりももっと効果的に特定し、狙うことができる。加えて、テレビ、ラジオ、印刷媒体の視聴者・読者のプロフィールについての情報が詳しくなったこともあり、マネジャーは複雑なセグメンテーション技法を使って、効果的な広告計画を立てることができるようになった。

 消費者の欲望

 消費者はますます活発にブランド・スイッチを行い、今まで使ったことのない製品を試している。派生商品は、同じブランドの傘の中で、幅広い製品バラエティーを供給することで、「何か目新しいもの」を求める消費者の欲望を満たそうとする試みである。こうしてラインを拡張することで、消費者を愛用ブランドに引き留めておきながら、彼らの欲望を満たすことができるのではないかと企業は期待している。

 さらに店頭広告協会(Point-of-Purchase Advertising Institute)が行った調査によると、消費者は日用雑貨・健康美容用品の購買決定では、その約3分の2を店内で衝動的に決めている。もし小売業に受け入れられさえすれば、派生商品によって、そのブランドは店頭シェアを伸ばし、それにつれて消費者の注意を引き付ける。メーカーが、あるブランド・ラインの全アイテムにわたってパッケージやラベルをコーディネートすれば、店頭の棚やディスプレーが、ビルボードのように、消費者の注意を引き付ける効果を持ち、ブランド・エクイティを高めることもできる。

 幅のある価格帯

 しばしばマネジャーは派生商品の品質の高さを主張し、これら製品の価格をコアとなる製品よりも高く設定する。売上げの伸びが鈍化している市場であれば、既存客をこうしたプレミアム製品に引き付けることで、メーカーは製品1個当たりの収益を増加させられる。こうすれば、たとえ自社製品間の共食いが起こっても(少なくとも短期的には)収益は上がる。