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環境問題にどう対応していくか。この問題は長い間、経営者の頭痛の種だった。ノア・ウォーレーとブラッドリー・ホワイトヘッドは、『成長維持に向けた環境コストのマネジメント』(DHB誌1994年9月号)の中でこのように報告している。
従来、環境保全に取り組むことは、ビジネスの利益が損なわれる、あるいは地球を守っている合間にビジネスは取り返しのつかない打撃を被ると考えられてきた。
しかし最近は、ビジネスと環境問題への取り組みは両立するという新しい認識が一般的になってきた。この新しいパラダイムでは、究極的にビジネスと環境問題の両方で勝利することができる。環境問題に取り組むことは、もはや事業を営むためのコストの一部であり、新しいマーケットの開拓やイノベーション、そして利益をもたらす触媒として機能する。
環境問題への取り組みがビルトインされた企業経営を考えていくことは、ビジネスに広範囲にわたって利益をもたらす結果となるだろう。経営者は、この新しい「グリーン」な世界で製品をリ・デザインしていかねばならない。そのためには、環境への負荷の少ない、あるいは枯渇しない原材料を使う必要がある。この努力が実を結べば、製造コストや在庫の削減にもつながることだろう。
この新しい考え方は大変よさそうに見える。しかし、ウォーレーとホワイトヘッドは、あまりに非現実的であると論じている。ほとんどの企業では、環境にかかるコストが莫大で、それに見合うような利益はほとんど望める状況ではない。
はたして環境問題とビジネスの「双方が勝利を得る」解決策(Win-Win Solution)は、企業の環境戦略の基礎となりうるだろうか。12人の斯界の権威が、環境問題とビジネスの双方の立場からコメントを寄せている。
高額な環境コストは非効率で無用だが企業を環境対策に誘うインセンティブは必要
リチャード A. クラーク
パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社 会長兼CEO
環境問題とビジネスの両立について、さまざまなところで書かれたり言われたりしているが、その多くはあまりに平板で、この類の議論が非現実的な期待感を醸成しているというウォーレーとホワイトヘッドに賛成である。
しかし、両立という道は選択肢ではない。強力でグローバルな経済によって、経済、社会、そして地球環境を統合してはじめて、持続可能、つまり両立が可能となるのだ。
また、「双方が勝利を得る」解決策がとるに足りない考え方だとか、企業が環境問題に取り組むことへの価値に対して懐疑的な著者らの視点には賛同できない。
著者らはビジネスと地球環境の両立によって真の利益が生まれるということに反駁する立場であり、その理由は、環境問題に取り組むためのコストは莫大で、しかも増えつつある一方、何ら経済的な見返りもないからだと指摘している。



