-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
多くの経営者は顧客への商品やサービスの提供方法がプロセス重視の多機能チームにより大いに改善できることを、すでに理解している。ところが、多機能チームの成果を上げるためには新しい業績評価システムが必要なことは、ほとんど理解されていない。
どのような業績評価システムであれ、その作成にあたっては、評価の対象となる組織の基本的な条件が考慮されるべきである。組織に変更が生じても、評価システムが変わらなければ、その有効性は低下するばかりか、悪影響さえ与える。統制を重視する機能別の階層組織から、迅速に動けるフラットな新しいチーム組織へ移行した多くの企業で、伝統的な業績評価システムはうまく機能せず、弊害にさえなっている。現在、多くの企業を悩ましているのが、多機能チームと機能別組織間のトラブルであり、それをさらに複雑にしているのが伝統的な評価システムである場合が少なくない。
チーム組織において評価システムが有効に機能するためには、2つの障害を克服しなければならない。一つは、必要に応じて専門知識が得られる仕組みができていること、そしてもう一つは共通言語で情報交換ができる、多様な機能部門出身のメンバーが獲得できることである。伝統的な評価システムでは、これらの障害が克服されていなかった。
企業の多くが用いている現行の評価システムの第1の役割は、マネジメントが「良い情報」を吸い上げることである。その情報によって、「良い意思決定」を行い、トップダウン経営が可能となる。そのため、独自性の強いそれぞれの機能部門は、トップ・マネジメントにその活動を知らせるための評価指標を有している。つまり、マーケティング部門は市場シェアを、事業部門は在庫を、財務部門はコストを、それぞれ重視するといった具合である。
そのような成果重視の評価指標からは、目標達成に取り組んできた組織の現状はわかるものの、いかにして目標に到達するか、これまでの進め方でよいかどうかは教えてくれない。こうした指標の多くが、一つの機能組織で起きていることを測定するもので、複数の機能組織にまたがって起きていることを測定するものではない。複数の機能にまたがる成果重視の評価指標は少なく、売上高、粗利、売上原価、資産、負債などにすぎない。これらの指標は、ほとんど財務部門で求められるが、トップ・マネジメントのためだけに存在している。それに対して、プロセス重視の評価指標は、一つの成果を生み出した組織全体の職務や活動から求められる。多機能チームは受注活動、新製品開発など商品・サービス提供のプロセスを担当するため、このような評価指標は重要なものとなる。伝統的な機能別組織と異なり、チームを基本とする組織ではプロセス重視の評価指標がうまく運用できるし、それらが必要とされる。
チームの有効性を最大にするには、どのように業績評価システムを変更すべきか。そのための4つのガイドラインは、次のとおりである。
1. 評価システムの目的は計画達成の現段階をチームに示すことであり、トップ・マネジメントに示すことではない。
チームにとっての評価システムとは、第1に、いつ適切な措置をとるべきかを知らせると同時に、チーム単独で解決できない問題にトップ・マネジメントが介入できる手段でなくてはならない。たとえチームが優れた評価指標を持っていても、マネジメントがそれをチームの統制に役立てなければ意味がない。評価システムには、評価指標だけでなく、それを役立てる方法も含まれる。
2. 本当に権限が委譲されているチームは、自らの評価システム作成に中心的役割を果たさなければならない。
チームがやがて、必要な評価システムが何かわかるようになっても、その作成はチームだけで当たるべきではない。マネジメントはでき上がった評価システムが経営戦略と矛盾していないかを確認する必要がある。



